「会社の上司と妻」-13
こうして近藤は1人で玄関を出て行った。大通りまで歩いて、そこからタクシーに乗るつもりだろう。この家から近藤の住むアパートまでは、電車で2駅の距離なので、さほど遠くは無い。
健一と綾子は、どこか気まずい雰囲気のままリビングへと戻ってきた。健一は一瞬チラッと和室のほうに目をやった。障子が引かれているので中の様子は見えないが、つい先ほどまで男と女が激しく交わった痕跡がまだ残っているだろう。
「綾子・・。部長とどうだった・・? 何か・・、嫌なことされなかったか?」
「え・・? ううん・・。特に嫌なことは・・、なかったかな・・。まあ、あんな男に身体を触られるだけでも、ホントは嫌なんだけど・・」
「ごめんな・・、僕のせいで・・」
「ううん。健一さんは気にしないで。あと1ヶ月の辛抱だから・・。私は全然大丈夫だから、ね?」
「あ、ありがとう、綾子・・。あ・・、あのさ・・。部長とどんなことしたか・・、少しだけ聞いてもいいかな?」
「あ・・うん・・、いいよ・・。話してあげる・・。その前に少しシャワーを浴びたいから、2階で待ってて」
綾子はそう言うと、浴室へと向かった。そして、健一が自分の部屋で妻を待っていると、綾子がノックをして入ってきた。綾子は身につけていたものを脱ぎ、健一のベッドへと潜り込んだ。
それから朝日が昇る頃まで、健一と綾子はセックスをした。数年ぶりとなる夫婦のセックスだった。綾子が部長とのことを告白し、それに興奮した健一がその欲情を綾子の身体にぶつけていく。
綾子は夫へいくつかの事実を告白した。部長の指と舌のテクニックで、何度も絶頂させられたこと。約束を守ることができず、キスをして舌を絡めたこと。部長の肉棒は、今まで見たことがないほど巨大だったこと。
最初は手で2度ほど射精させていたが、最後は口を使って射精させたが精飲はしていない、セックスまでは要求されなかったと、綾子は健一に話した。
もちろん健一はすべてを知っていたが、そんな素振りは見せずに、妻の1つ1つの告白を驚きながら聞いていた。綾子の口から「部長の巨大なものを舐めた」などと聞くたびに、健一の肉棒は痛いほど勃起し、久しぶりの妻の熟れた身体を堪能した。
こうして長い初日が終わった。毎週水曜と金曜の夜。これが1ヶ月続くのである。次は来週の水曜となるが、その日も部長と綾子は当たり前のようにセックスするのだろうか、と健一の心の中には期待と不安が交錯していた。
翌日の土曜日。休日である健一は、遅めに起きた。綾子のほうも娘を起こしていないようで、なかなか起きてくる気配は無かった。
そして、健一は起きてきた綾子と娘と朝食をとったあとは、自宅でゆっくりとテレビを見ていた。娘はおもちゃで遊んだり、テレビを見たりして過ごしている。
そんなゆっくりとした休日を過ごしていると、昼前から綾子が化粧を始めた。今から買い物に出かけたいので、申し訳ないけれど娘の面倒を見ていて欲しいと、健一は綾子から頼まれ、快諾した。
少し遠くの大型スーパーに行きたいので、帰りは夕方頃になるかもしれないと綾子は言った。そして綾子は車に乗り、出かけて行った。
これがいつもの日常なら、なんの疑いもなく綾子を見送ったはずだ。しかし、昨晩の一部始終を知っている健一にとっては、どうしても疑いの目を妻に向けてしまう。
部長は昨夜、「避妊薬をとりに、うちのアパートへ来い」と綾子に迫った。自分があの場で止めなければ、綾子は部長に付いていったかもしれない。
健一には、この数日の綾子が安全日なのか危険日なのか分からない。昨晩、部長の大量の精液を子宮内に放出され、綾子は今どんな気持ちなのだろうか。もしかしたら、妊娠の恐怖におびえているのかもしれない。あるいは、中出しされる快感を覚えてしまったのだろうか。
そして、綾子が自宅へ帰ってきたのは、出かけてから4時間ほど経ってからだった。この自宅から部長が単身赴任で住むアパートまでは、車だとおそらく20分ほどで、買い物を30分で終わらせたとして、少なくとも1-2時間は部長の家にいることはできたはずだ。
健一はそんなことを考えながらも、綾子に遅くなった理由については聞けなかった。問い詰めたとしても、部長の部屋に行っていたなどと、綾子が言うはずがない。家に帰ってからの綾子の様子を観察していたが、特に変わったところは見当たらない。
今では妻の姿を見るのが当たり前になりすぎていたが、あの服に隠れた豊満なバストやヒップが、つい先ほどまであの上司に触られていたのかと思うと、激しく興奮した。1時間あれば、セックスしていてもおかしくはない。
昨夜、数年ぶりに綾子とセックスした健一は、その晩もまた綾子を呼び、その身体を堪能した。なぜか分からないが、綾子のほうも相当感じているようであり、「気持ちいい」を連発していた。
避妊具の中にタップリと欲望を吐き出し、射精後は妻の豊満な谷間に埋もれる。この時、健一には、部長が自分たち夫婦にとって、救いの神であるかのように思えてきた。
翌日の月曜日。健一はいつものように出勤し、職場で近藤と顔を合わせた。近藤はすぐに健一の近くにやってきて、「週末は奥さんとやったのか?」と小声で尋ねてきた。健一は返答しないわけにもいかず、「はい」とだけ答えた。近藤が悔しそうな表情をしている。
「草野君、次は水曜日の夜だな。始まる前にまた、あの小瓶の液体を奥さんに・・。今度は前回よりも少し多めで頼むよ」
「あ・・、はい・・。分かりました・・」
そう答えた健一だが、実はこの数日、ずっと悩んでいた。自分の浮気が社内で発覚するのを防いでくれ、さらには夫婦のセックスレスを解消してくれた部長に恩は感じているのだが、それ以上に、もう妻の身体をこの部長に触らせたくない気持ちのほうが勝っていた。