12 アントワープの人-1
この頃、サチはベルギーのアントワープに住んでいる人と知り合いになった。
ベルギーのアントワープと言えば「フランダースの犬」である。
この「フランダースの犬」で涙した方もたくさんいると思われる。
そんな中のひとりがサチだった。
このアントワープの人の名前は工藤真一と言った。
本名かどうかは分からなかった。
サチはこの日も工藤とメールでやり取りしていた。
「フランダースの犬は本当に泣けるわ」
「単に、アントワープの人たちが子供に対して冷たかっただけの話しだよ」
そう工藤は言ってきたのだ。
確かにそう言われてみればそうだと感じたサチだった。
工藤は年に数回日本に来ては日本の食材を調達していくという事だった。
海外に長く住んでいると日本食が恋しくなるらしい。
醤油や味噌が欲しくなると工藤は言っていた。
工藤はアントワープでダイヤモンド加工の工場を経営していた。
アントワープには数えきれないほどのダイヤモンド業者、カット職人、研磨職人がいたのだ。
そんな工藤が日本に食料買い出しに来ることになった。
「近いうちに日本に行くので良ければ一緒に食事しませんか?」
そう工藤が言ってきた。
サチはアントワープの話しも聞きたかったので会うことにしたのだ。
会う当日…。
サチはこの日もちゃんとピルを飲んだ。
待ち合わせは横浜駅だった。
横浜の高島屋の前で待ち合わせることにしたのだ。
今日のサチの服装は黒のノースリーブの細身のミニワンピに白いカーディガンを羽織り足元はピンヒールだった。
耳にはスタージュエリーで買ってもらったピアスが光っていた。
高島屋の前で暫く待っていると、ちょっと小太りなスーツを着た男性がサチの方に歩いてきた。
「鮎川さん?」
「はい、工藤さんですか?」
「そうだよ。よろしくね」
「はい、よろしくお願いします」
「じゃ、行こうか」
そう話すと二人は歩いていった。
時刻は夕方だった。
二人は魚民の居酒屋に入っていった。
まだ、少し時間が早かったのでお店は空いていた。
居酒屋に入ると二人はビールを頼んだ。
「初めまして。よろしくお願いします」
そう言いながら二人は乾杯したのだった。
工藤はサチにアントワープのお土産として量り売りのチョコレートを買ってきてくれた。
サチはチョコレートが好きだった。
アントワープはチョコレートでも有名なところだった。
そのチョコレートはとても美味しかったのだ。
二人は飲みながら話をした。
「僕はね、奥さんとはもう何年もしてないんだよ」
「そうなんですか?寂しくありませんか?」
「そりゃ、寂しいよ」
そう言うと工藤は黙ってしまった。
「日本に来た時の彼女が欲しいんだよね」
「そうなんですか」
「うん」
工藤はそう話した。
二人はいろいろな話で盛り上がった。
そうこうしているうちに、外が暗くなってきた。
「これから、どうします?鮎川さん」
「そうね、店変えてもいいわ」
「じゃ、僕の泊まってるホテルで飲まない?」
「それもいいわね。お願いします」
「じゃ、決まりだね」
そう二人は話すと店を後にした。
工藤が泊まっていたホテルは相鉄フレッサインだった。
東口から出てすぐのところにあった。
二人は工藤の部屋に入っていった。
部屋は最上階でとても綺麗で広かった。
部屋には小さなバーみたいなカウンターとキッチンがついていた。
工藤はそこでお酒を作ってくれてサチに渡してくれた。
二人は暫く話しながら飲んでいた。
そうしているうちに工藤はサチにこう話してきた。
「鮎川さん、今夜僕の恋人になってくれないかな?」
「恋人?」
「そう、恋人だよ」
「どういう意味?」
「一晩僕と付き合って欲しい」
サチは工藤が自分にセックスを求めているのだとわかった。
サチは少し迷ったが、工藤の寂しさを考えると断れなかった。
「ええ、いいわ。一晩だけね」
「ありがとう。お礼はするよ」
工藤はそう言うと笑って見せた。
サチは工藤が今夜寝るであろうベッドに横になった。
その姿を見て工藤の興奮は隠しきれなかった。
まだ、サチは服をきたままだった。
裸にはなっていない。
でも、工藤は興奮していたのだ。
工藤が寝ているサチに唇を重ねてきた。
ゆっくりとした甘いキスだった。
「鮎川さん、キスがうまいんだね」
「そうかしら?普通よ」
「でも、すごい感じるキスだよ」
工藤はとても嬉しそうだった。
サチの首筋に唇を這わせてきた工藤。
サチはくすぐったさと、身体が感じてゆくのを味わっていた。
工藤の手がサチの胸を洋服の上からまさぐってくるのがわかった。
サチは少し甘い声を上げる。
それに反応した工藤だった。
工藤はサチの白いカーディガンを脱がせていく。
脱がせるとサチの白くて長い腕が見えてきた。
工藤はサチのワンピのファスナーを下ろしていった。
ワンピの下はブラとパンティだけだった。
工藤はサチのワンピを脱がせた。
サチの白い肌と少し小ぶりだが形のいい胸が顔を出してきた。
その姿を見ると工藤は興奮している様だった。
ブラの紐を半分外してサチの乳房を手で触ってきた工藤。
サチから甘い声が漏れてくる。
「き、綺麗な肌をしてるんだね…」
工藤はそう言うと乳房を揉みながら乳首を口に含み甘噛みしては舌で転がし始めた。
「う、うん…あん」
サチの口から甘い声が聞こえてきた。
工藤はサチのブラのホックを外した。
あらわにサチの乳房が見えた。
工藤はサチの乳房にむしゃぶりついた。