続・風祭〜reunion〜-4
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――――――昼食後の片付けを終え寝室の鏡台前で身支度を終えた三重子の耳に、昼の2時を知らせる壁時計の音が入ってくる。
窓の外は晴れ間のままではあるものの、夜明けの時に比べ風が段々と強くなっているようだ。
寝室を出た三重子はリビングに向かい、そこからテラスに出た。
眼下に広がる箱根仙石原の見慣れた光景を見つめながら、強まる風の勢いを全身で受け止めていた。
(昼過ぎとは仰ったけど・・・・)
三重子の中で未だに来訪の兆しのない小谷の不在が次第に不安へと変わっていく。
小谷の性格上事前の連絡もありそうだし、そもそも到着時間から逆算して予定を組みそうなものだ。
無論仕事柄急遽の対応に時間を要したり、或いは車の不具合や渋滞があったかもしれない。
(でも、万が一・・・・・)
最近まで不幸な出来事に何度も遭遇してきたせいか、最悪の事態ばかり考えてしまい、三重子の不安は募るばかりだった。
(加賀の小父様や麻子さん達の時なら、ここまで不安になっていただろうか・・・・)
自分の中で既に小谷の存在が特別なものになっている―――――――
リビングの壁時計が3時を知らせるのを耳にし、三重子は一旦は屋内に戻る。
ソファに腰を沈めながらもテレビや雑誌に向かうわけではなく、
三重子はぼんやりと小谷が無事に来てくれるだろうかということを考えていた。
幸いなのかどうか分からないが、電話のベルが鳴ることはなかった。