続・風祭〜reunion〜-24
「いえ、構いませんわ・・・・・」
「それは良かった。折角ですから今日はワインセラーの中にある年代物の1本でも飲んでみたいと思っています。無論加賀先生には内緒ですよ・・・・三重子さんも如何ですか?」
「・・・・分かりました。ご相伴に預かります」
以前までの遠慮がちで控えめな風情の小谷の姿はそこになく、むしろ吹っ切れたような快活さと自信がそこにあった。
小谷と結ばれた三重子にとって、そんな小谷の変化はむしろ好ましく、これからの頼り頼られる関係の中で安心感を与えてくれるものに映っていた。
「じゃあ食事を終わったら地下に降りて2人で選んでみましょうか・・・・ああ、それと」
ここで小谷は一呼吸おくと、三重子に対して冗談めかして微笑んだ。
「今夜は明かりをつけておきましょう。2晩続けて暗闇の中は勘弁してくださいね」
三重子も控えめながら、それでいて加賀の言葉を借りるならば、華やぎを伴う微笑みで頷いていた。
「はい、そのようにいたしますわ」
2人の言葉なき笑顔がもたらす空気と朝の日差しが山荘の内外を暖かく包み込んでいった―――――――
―――― 完 ―――――