続・風祭〜reunion〜-23
「加賀先生からですか?」
テーブルに戻った三重子に小谷が問いかける。既に目の前の皿に出されていたトーストとベーコンは平らげられ、手にしたコーヒーカップの半分くらいまで飲み干されていた。
「ええ、いつものお見舞いの電話ですわ」
「来週からはいよいよ三重子さんも現場復帰になるわけですね」
「はい・・・ようやくここまできました。本当に皆さんのお陰です」
「それにしても・・・加賀先生から大分冗談を言われていたみたいですね。赤くなっていたみたいだったが」
先程の加賀の冗談、そして昨日から小谷から与えられた愛撫の感触が甦り、三重子は再び赤面してしまう。
「その・・・・私の声が華やいでいて・・・何かいいことがあったのか、と・・・・」
「相変わらず加賀先生の目は鋭いな。・・・いや、この場合は耳か」
加賀の言わんとすることに小谷も苦笑する。
「それで、小谷さんは今日・・・」
「ああ、仕事のことですか?ご心配なく、この後職場には電話しますよ。明日の昼から出勤することを伝えるつもりです」
「明日の昼から、ですか?じゃあ今日は」
「今日はまたこちらに泊めていただこうと思っていますが・・・いけませんか?」
小谷の真っ直ぐな視線に、三重子は彼の言葉の“真意”を痛いほど分かる。
しかし三重子には拒否する”理由“はなかった。いや、”意志“がなかったというべきだろうか。