続・風祭〜reunion〜-20
三重子はたとえ目を反らせていても、彼の動きに五感を集中してしまう昨晩を境にした変化に正直驚いていた。
無論コーヒーポットに湯気たつ茶色の液体を注ぎ始めた際、彼がキッチンの中に入ってきた時も。
手元の作業に没頭している中で背後に男の気配を感じて顔をあげた時、
三重子の身体は背中に密着した小谷の感触に思わず反応していた。
「小谷さん・・・・・?」
「夜の貴女も素敵だったけど、明るい場所での貴女は、もっと素敵です・・・・・・」
耳元に顔を寄せて囁く小谷の口調には、今までなかった“一線を越えた”男女の気安さが滲んでいた。
ポットを持つ三重子の右手に小谷の右手がそっと添えられ、
シャツの生地越しとはいえ彼女の尻に直接押し付けられる下半身の熱に、
三重子は自分の出で立ちが結果的に小谷を誘い煽ってしまったことを自覚する。
彼女がそんなつもりはなかった、と弁明したとしても、そんな弁明すら誘いそのものだと思わせるくらい、男の目から見て彼女の40代の身体は単なる裸体より魅惑的なものになっていた。
「いけませんわ・・・・・」
背後で小谷がベルトを緩める金属音、そして右手に持っていたコーヒーポットをその場に置くように導かれたことで、
小谷が考えていることを察した三重子は身体をよじりつつ、彼の行動を押し止めようとする。
しかし恥じらいと諦めが同居したような三重子の口ぶりに小谷は動じる風はない。
「・・・・・今は何より、貴女が食べたいんですよ」
「そんな・・・・・・」
開かれていた胸元に彼の左手が滑り込み、同じく右手が繁みに触れたことで、三重子は声にならぬため息と共に目を瞑り両手をキッチン台についていた。
昨晩同様に小谷の愛撫を受けようとする自然な態度が妙に馴染んでしまっている。
「小谷さんって・・・・もっと紳士かと、思っていましたわ・・・・」
彼の右手に導かれるまま両足を肩幅に広げ、そのまま下腹部の繁みの中に差し入れられた2本の指が、既に蜜を滴らせている三重子の中に沈みこみゆっくりと動いていくのを感じながら、
三重子は目を瞑り背後に立つ小谷への“恨み言”を口にしていた。