続・風祭〜reunion〜-2
「小谷さんが宜しければ・・・・直接お会いしたいわ。電話で話すのも何だか・・・無論小谷さんのお仕事の都合がよければ、ですけど・・・・」
「いや、その・・・参ったな。三重子さんの方からそう言われてしまうと・・・」
電話の向こうで頭をかきながら恐縮しきりの小谷の姿を想像し、三重子は心の中でクスリと笑った。
「・・・それでは明後日、昼頃にそちらに伺います」
「明後日・・・お仕事は」
「ご心配なく。私の仕事なんて何とでもなりますよ」
彼の多忙さを知る三重子としては、自分のために時間を都合しつつも努めて明るく振る舞う小谷に申し訳なく思った。
「それで三重子さんは、いつまで山荘に?」
「今はまだ・・・これからのことに漸く目を向けられてきたところですから・・・・」
「そうですよね・・・・でも、貴女が元気になってくれて、本当に良かった・・・」
ゆっくりとした口調と短い言葉の節々に、小谷の優しさが込められているようで、それが三重子の胸を温かくした。
「明後日お伺いした時・・・・これからのことを、お話しできればと思っています」
「・・・・私も楽しみにしています」
互いに短い言葉を交わした後、三重子はゆっくりと受話器を置き、暫くの間その場を離れなかった。
久しぶりに耳にした小谷の言葉の余韻に浸るために―――――――――