続・風祭〜reunion〜-19
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――――――カーテンの僅かな隙間から入ってくる朝の光を瞼に感じ、三重子は目を覚ました。
昨晩吹き荒れていた風の唸りはどこへやら、小鳥のさえずりだけが三重子の耳に入ってくる。
自分の傍らで密着していた肌の温もりを名残惜しく感じながらもそっと掛け布団から抜け出してスリッパを引っかけた時、
三重子は漸く自分が何も身にまとっていないことに気づく。
慌ててベット脇にかけていた男物のワイシャツを無造作に手にして身にまとう際、
彼女の視界の内にベットの中で規則的な寝息をたてている小谷の顔が映る。
自分が昨晩小谷と一夜を共にした記憶、特に自分の身体に与えられた男の愛撫の全てが甦り、三重子は恥ずかしさのあまり赤面する。
いたたまれなくなり寝室を抜け出すものの、眠っている小谷を起こさないように音をたてない気配りを三重子は忘れなかった。
―――――――キッチンで誰かの為に朝食を用意するのも本当に久しぶりだった。
もっとも男物のシャツだけを羽織るような“あられもない姿”で行うのは初体験となるのだが。
気恥ずかしさから小谷のシャツとスリッパだけで部屋を脱げ出してきたものの、
小谷以外の誰もいない山荘ということもあって、
自身の前面が露になった状態でキッチンに立つことが三重子にはどこか新鮮で刺激的だった。
小谷自身も起き出してきた際に見られてしまうことに関しても、改めて抵抗を感じていない。
冷蔵庫からサラダを取り出し2人分のトーストにバターを塗り終え、最初に準備していたコーヒーの香りが辺りに漂い始めた頃、
おもむろに小谷がリビングに姿を現した。
「・・・・・おはようございます。良い香りにつられて起きてしまいましたよ」
「すみません、折角眠られているのに起こしてしまって・・・・」
「いいんですよ。昨晩は本当に充実していましたから・・・久しぶりに良く眠れたと思っています」
柔らかな、それでいて充実感溢れる小谷の微笑みに、三重子は彼の言葉の意味することを察し、恥ずかしさのあまり顔を背けてしまう。
目を覚ましたばかりの小谷は(ワイシャツを三重子が着てしまっていることもあり)上半身スポーツシャツ一枚にスラックスという出で立ちで、シャツの生地越しにその筋肉の脈動、そして中年特有の大人の色気をまとっているのを意識せずにはいられない。