続・風祭〜reunion〜-16
「麻子に・・・娘にも言われましたよ。相手の気持ちや周りのことを意識しすぎて時期を逃す。それが僕の欠点だって・・・・・」
小谷からの暫しの愛撫を経て、仰向けからくるりと身体を反転させられ、ベットの上で両肘をつく格好になった三重子の耳に彼の呟きが聞こえてくる。
「麻子さんが、そんなことを・・・・」
後ろから脱がされる形でブラウスの両袖を抜きながら、三重子の脳裏に父親に面と向かって意見する麻子の顔が浮かんでくる。
「娘の言うとおりですよ・・・・今までの人生で、思いあたることは数えきれない。それに」
露になった三重子の背中に触れ、手慣れた指の動きでブラジャーのホックを外しながら、小谷は一瞬言葉を切った。
「貴女については、もっと早く直接思いを伝えておればと・・・・・そうすれば避けることのできたことも、色々あったと思いますから・・・・」
胸元から独特の圧迫感が失われ、腋からスルスルとブラジャーが抜き取られていくのを感じながら、
三重子は背後から自分を見下ろしている小谷の次の言葉を待った。
山荘を訪れた直後にはややぎこちなさがあり、思いの全てを言葉にできていなかった2人だが、
こうして一線を越えようと決意してからは何の抵抗もなく自然に思いの丈を言葉にしているように思える。
「・・・・もう後悔はしたくない。これからは、自分に正直に振る舞おうと思っています」
「小谷さん・・・・・・」
背後の小谷に対して尻を向ける形の三重子のショーツの縁に小谷の指がかかった時、
三重子は一瞬息をのみ、その裸体はピクリと反応する。
小谷とは違いベットの上で殆ど口数が少ない三重子だったが、
逆に言葉にしなくても態度をもって示す方が自分の思いが小谷に伝わるだろうと思っていた。
三重子の沈黙をもって“同意”を得た小谷の手が、蜜と唾液で濡れてしまった三重子のショーツをゆっくりと下ろしていく。
膝付近を通過する際には、三重子は交互に膝を持ち上げて小谷の動きを手助けしていた。
こうして闇の中で三重子は身に何も纏わぬ姿でベットの上にいた。
同じく外気に裸体を曝している小谷の両膝がベットの上に完全に乗った時、
マットレスはギシリと鈍い音をたてて軋む。
既にベットの周りには、互いの衣類や下着が無造作に散らばっていた。