続・風祭〜reunion〜-11
「―――――・・・・・・っっ」
目元に小谷の指がそっと添えられた時、
三重子は初めて自分が涙を流していることに気づいた。
無論三重子には何故涙を流してしまったのか、はっきりとした理由は自覚できていない。
ただ実際の写真を前にして、それらの撮影日から現在に至るまでの様々な出来事がもたらした感情の数々が一緒くたになって三重子を揺さぶり、その涙を誘ってしまったのだろうか。
「すみません・・・・・」
「え・・・・・・・」
優しく涙を拭ってもらった直後の謝罪に、三重子は思わず傍らの小谷を見る。
「私がこんな写真を持ってきてしまい、三重子さんの悲しい思い出を呼び起こしてしまったみたいで・・・・」
「そんな・・・・違いますわ。小谷さんのせいなんかじゃありません。
・・・・確かに今まで胸の中に溜まっていたものが溢れたみたいな・・・・でも、それは私の人生にとっての大きな始まりの写真だったからです。
むしろ私にとって・・・・この時の小谷さんとの繋がりがなければ、今こうして小谷さんと向かい合っていないんですから・・・・・」
首を横に振りながら小谷への言葉を紡ぐ三重子の眼に、いつしか真剣な表情で三重子を見返す小谷のやや上気した顔が映った。
ソファに並んで座っていることもあり、食事前の雑談の時より小谷の表情や熱、そして呼吸がより近くに感じられる。
「・・・・・・・・」
互いに無言のまま見つめあう中、それぞれの呼吸と部屋の壁時計の針を刻む音だけが室内に響く。
真っ直ぐ自分を見つめてくる小谷の視線を外すことができず、いつしか三重子が息苦しさを覚え始めた時、
小谷の状態が一瞬前のめりになった瞬間、
三重子の身体は抱きすくめられ小谷の身体と密着していた。