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風の通り道
【青春 恋愛小説】

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風の通り道-2

「俺と同じ考えだ。」
にこっと笑って私の方を見た。
『そっかー!!先輩、結構冷たい人間なのね』
私はケタケタ笑いながら言った。
「な、なんで?」
『私、よく冷たい人間だって言われるんだ。同じ考えならそこも同じかなって思って。』
「ううう。実は俺も冷たいってよく言われるよ」
『あ、やっぱり?』

二人で公園を出て、飲み物を買い、飲み会場へ戻った。



それから一週間、普通に生活を送っていた。
でも、私の雅之への気持ちは冷めていく一方。
今までに無い体験。
この気持ちのまま付き合ってていいのか?
そんな疑問まで出てくるくらいだった。
しかし、自分から動き出す勇気なんてなかった。
隣に誰もいなくなるのは寂しい。
「雅之じゃなきゃ駄目」ではなく、
「雅之でもいい」であった。

私の心の穴は前より大きくなっていた。
風が通るときに鳴る音も
前より大きくなっていた。


今夜は綾子先輩の家で飲み会。
先輩の家にお邪魔すると、そこには憲二先輩の姿もあった。
いつもどおりに飲み会がスタート。
今日も雅之はバイトで参加できなかった。
綾子先輩とじゃれながらお酒を飲む私。
こうやって楽しんでいると、悩んでいたことが
少しだけ薄らいだ気がした。

飲みだして2時間経ったころ・・・
「美穂」
憲二先輩がいつの間にか私の隣で飲んでいた。
『はい?なんでしょーか!』
私はそこまで酔っていなかったが、いい気分になっていた。
「また、二人で散歩しない?」
意外な提案だった。
今まで可愛がってもらっていはいたが、憲二先輩から
声をかけられることはなく、いつも私からかまっていたからである。
『お散歩??』
「そう、ちょっと抜け出そうよ。」
私は少し躊躇した。
いつもは感じない後ろめたさを感じたのだ。
でも、それもすぐ消えたので私は了承した。

近くに公園はなかったので、住宅街をぐるぐる歩くことになった。
『ぅあー。風が気持ちいい!』
「だね。」
『あの部屋人がいすぎて暑かった』
夜の風と、夏の匂いを感じながら私は歩いていた。
「ねぇ。この間の続きになっちゃうんだけど」
『はい。なんでしょう?』
「もっと美穂の好み聞かせてよ。どんな男だと一緒に居やすいの?」
え?この間話したことが精一杯の答えだったのに・・・
『え・・・−っと』
私は急いで考えた。なんだか、答えなくちゃいけないような気がしたのだ。


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