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出会い
【ガールズ 恋愛小説】

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揺らぎ-1

 暑い夏の季節も過ぎ去り、あたしたちは二学期が始まって学校に行くというなんともない日常が続く。
 けれど、あたしは夏休みで乱されるだけ心をかき乱され、変わってしまった。
 それを認めたくは無かったから、自分にも他人にもごまかしていた。

揺らぎ

 あたし、小岩井彩夏。暑かった夏も終わり、再び学校に通う日常が戻ってきました。
 それにしても、眠いわね。そもそもあたしは朝に弱い。
 そんなあたしがどうして珍しく、朝練に向かっているのかというと、秋の大会が近づいているためなんです。
 あたしは重い目蓋をこすりながら、部室のある体育館の方へと迎う。
 さすがに秋口の朝となればその空気はひんやりと冷たい。朝日に照らされて草の露が光る。
 まだ生徒もほとんどが登校していない学校は、いつも見ていた景色と違った色をあたしに見せてくれた。

 あたしは部室の戸に手を掛け中に入る。
 中には一年生の後輩、奈津美ちゃんがすでに着替え終わっていた。
『おはようございます。小岩井センパイ』
 奈津美ちゃんも眠いだろうにご苦労な事ね。まあ、あたしと違って日頃からちゃんと練習に参加している彼女はどうってことないのだろうけど。
『おはよう。奈津美ちゃん。毎朝、早くから来て大変ね』
 あたしは自分のロッカーを開いて、着替え始めた。
 奈津美ちゃんはもう着替えているということは、もうすでに体育館の準備も終えたということだろう。
『そんな。一年生の仕事をしているだけですから』
 毎度の事ながら彼女のそういった細かな性格に頭が下がる。彼女をお嫁にもらった人はまず幸せだろうと思った。
『知っているわよ。奈津美ちゃん。他の子が来ていないときも、準備してくれているんでしょ。それに、部活のあとの後片付けもそうね』
 あたしは上着を脱ぎ、ユニフォムーに首を通す。
 奈津美ちゃんは少し意外そうな表情で驚いた。
『えっ。だってセンパイはいつもは朝練に来ていないから。あっ。ごめんなさい。そう言う意味でいったわけじゃないんです。』
 あたしはそんな奈津美ちゃんの様子を見て純粋に彼女を可愛いと思った。例えば、可愛い妹といったところかしら。
『いいのよ。あたしが今まで朝練に来れなかったのは本当の事だしね。それに朝練に来ていなくても、奈津美ちゃんの頑張っているのは分かるわよ。』
『いいえ。半分は好きでやっているような事ですから、だってあたしは小岩井センパイの事が』

 奈津美ちゃんが少し俯いた様子で何か言おうとした刹那、部活の戸が元気のいい千鶴の手によって開けられる。
『おはよう!彩夏。奈津美ちゃん』
 彼女はあたしの同級生でもある。ポニーテイルが彼女のチャームポイントだと言う。
 そんな彼女はユニフォームをすでに着てご登場。相変わらず元気なのね。
『おっ。おはようございます。あっ。あたし、ボール出してきますね。』
 そう言って奈津美ちゃんがいそいそと部室を抜けていく。
 そう言えば、彼女、何か言おうとしていた気が。その時には、もう奈津美ちゃんは体育館に向かって、部室には靴ひもを結ぶあたしと、何だかわかっていない千鶴がカフェオレを飲んでいるだけだった。


 大会が近づくせいか、練習が激しさを増し、体力には自身があったあたしも、集合をとる頃には息が切れていた。今まで朝練をさぼっていたせいかしら。
 ところで、この頃には三年生はすでに引退していて、部長もあたしたち二年生から選出したわけだが。
『みんな、例え体育館の端でも走って集合よ。いい?部活は挨拶が終わるまでなんだからね。』
 あたしたちの代で部長に相応しいと言ったら、千鶴しかいないわけで、みんな必死な様子で集合にかかった。


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