第六章 痴漢(画像付)-7
『んんっ・・・ふぅ・・・ん・・・・・』
男と、竹内とキスをしている。
(駄目っ・・・いけ・・・ない・・・・・)
昨日の悪夢が蘇る。
『んぐぅ・・・んん・・はぁ・・・・あはぁ・・・』
二人は愛おしそうに互いを求め合っている。
おぞましい光景を振り払おうとするのだが、列車が揺れる度にピッタリと密着した下半身からむず痒い電流が駆け上ってくる。
「ああ・・・・・あはぁ・・・・」
その快感に声を漏らした瞬間、列車がトンネルに差し掛かった。
(ああっ・・・・・・)
ドアの窓ガラスが再び鏡に変わり、映った自分の表情を見て圭子は愕然とした。
(わ、わたし・・・笑っている・・・)
それはとても嫌がっている顔には見えなかった。
まるでそう、昨夜の母の表情に似ていた。
夫でもない男に手を握られ、笑みを浮かべていた母の印象は少女の中で淫靡にデフォルメされている。
(いやらしい・・・やめて・・ママ・・・)
夢の中で何度も止めたのに、やめようとしてくれはしなかった。
そして、自分自身も。
『おほぉ・・・う・・・け、圭子ぉ・・・』
『んふぅ・・・んん・・・・んぐぅ・・・』
自分の名を呼びながら差し入れる男の舌を拒むどころか、受け入れ求めていたのだ。
(だめっ・・い、いけない・・・)
不条理な裏切りは少女の心を傷つけ、悪夢へと導いていったのである。
それが夢ではなく現実となった今も圭子を苦しめていた。
「ああっ・・はあぁっ・・・」
(ああ・・・・だめ・・・
気持ち・・・いい・・・)
快感を抑えきれなくなってきている。
男は既に新聞をポケットにしまい、顔を露にしていた。
目が合っても反らす事無くネットリした視線を絡ませてくる。