第一章 幸せの風景(画像付)-6
(でも・・・)
香奈子自身も否定出来ない何かを感じていた。
勿論、竹内の容姿の事ではない。
久しぶりに会った男は昔のイメージとかけ離れていた気がした。
十七年ぶりだから無理は無いかもしれない。
まだ少女だった頃に一度紹介されただけなのだから。
それでも男は変わったと感じたのは何故だろう。
粗暴な雰囲気以上に不気味さを覚えたのだ。
「フフフ・・・」
「ハハハ・・・」
夫と娘が何か囁き合いながら笑っている。
会社の社長という多忙な毎日の中、朝食だけはなるべく一緒にとるようにしてくれている。
優しい夫である。
「フフ・・・」
香奈子も思わず笑みをこぼした。
だが、男の顔が浮かぶとその表情も何故か強張ってしまう。
笑顔で朝食をとる親子三人。
この幸せな風景が、何時か壊されてしまうような、そんな得体の知れない不安を感じる香奈子であった。