鳥-1
あの日からあたしはまるで、大空を舞う鳥のようだった
『ご主人様』は34歳
それ以外のことは聞いても教えてはくれなかった。ご主人様曰く、「秘密にしていることでゆうの中で存在を知らしめるから」だって。
あの後、あたしはメアドを教えてもらった。まるで、子供がおねだりしてやっとのことで手に入れた玩具のように、ご主人様のメアド入手を喜んだ。
―――が
なかなかメールを送ることができない。なんて送ったらいいのか…。あたしからメールしなきゃ、あたしのメアドは教えてないから…返事は一向に送られてこないのに。ご主人様にメアドを教えようとしたら「ゆうのメアドを今聞く必要は無いからね。」と言われた。なんでだろう?
等と色々考えていたら半日経ってしまっていた。
>>ご主人様
メール遅くなってしま
ってごめんなさい。
送信。もっと色々書いた方がよかったかな?う〜ん…
と、悩んでる間にメール着信を知らせる音が鳴り響いた。
>>?
どちら様でしょうか?
見た瞬間、ずっこけそうになった。……あ!名前入れ忘れてた!!
慌てて返信メールを作成する
>>すいません!ゆうです
。覚えててくれてます
よね?
>>すまない。やっぱりゆ
うだったか。
覚えているに決まって
るじゃないか。必ずメ
ールしてくると思って
たよ。
必ず?ご主人様はあたしがメールしてくるって確信があったからあたしのメアドを聞かなかった??
もう、すでにご主人様の調教は始まってるんだ…
>>こんな時間にメールし
てごめんなさい。寝な
くて大丈夫ですか?
>>時間は気にせず、いつ
でもメールしてくれて
構わないよ。ゆうこそ
寝なくて大丈夫なのか
?
>>あたしは大丈夫です。
明日は日曜でお休みで
すから
>>それは明日ならいつで
もいじめて下さいって
ことかな?
>>そんなつもりじゃ…
>>今日はそういうことに
しておこう。
あたしは―――
「そういうこと」にしてほしくはなかったんだけど。あんまり最初から「淫乱」だとは思われたくなくて…もやもやしながらも身をひいた。