女らしく【14】『昼と屋台と陽の祭』-2
「マコトさ〜ん！こっち手伝ってもらっていいですか？」
ミリィが忙しそうに小銭を分けている。
「おう、今行くよ！」
調理担当のオレ達とは違い、ミリィ、奏、詩乃、博士、大和は接客担当。
理由は料理が苦手だから。
どれくらい苦手かというと…
奏は見た目豪華なのに、味が酷いものを作る…
ミリィは細かい作業が苦手なので料理というよりは破壊活動だ…
詩乃はとにかく悲惨な結果に…
博士？
アイツは論外。アイツがやるのは料理じゃなくて、食材の解剖…
「大和、お疲れっ♪」
全ての下準備を済ませ、開店時刻まで後ちょっと…
「この雰囲気がいいよな♪本番前の準備って本番以上に楽しい♪」
「確かにな♪なあ、大和…あ、後で一緒に学園祭回らないか？」
去年はあまりの忙しさに大和と一緒にいられる時間がほとんど無かったから…
通じろオレの願い！
「別にいいけど…俺達の屋台がこれだから、多分昼過ぎになるぞ？」
やった！
オレは昼過ぎだろうが、深夜だろうが大和と一緒なら何時でも構わねえよ♪
「マコト、お客が来てますわよ」
奏が校門を指差している。
「誰だ？」
「行けば分かりますわ」
奏に言われた通り、大和と一緒に校門へと向かった。
この学園祭は闇の種族達も数多く集まる。
どちらかと言えばヒトの方が少ないくらいだから、客人はすぐに分かった。
「やっほ〜い♪来たよ〜♪あっ！大和君、久しぶりぃ♪」
ハイテンションの代名詞、鼎夢だ！
「夢！元気だったか？」
「うん！それにしても、ハロウィンみたい♪」
あの一件以来、闇の世界を知ってしまった夢と定守先輩は学園の審議の結果、問題無しと判断された。
「先輩はどうしてる？」
「定守先輩なら、相変わらず♪マコトの写真見て溜め息吐いてるけどね♪」
定守先輩…最後に諦めるとか言ってましたよね？
「後…添嗣先輩はね…自主退学…詳しくは知らないんだけど…今は精神病院で治療中らしいんだ…」
オレは、そうか…としか答えられなかった…