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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【14】『昼と屋台と陽の祭』-1

秋風は爽やか、だが寒いわけでは無いのでかなり過ごしやすい。

『おい、看板は?』

『ちょっと傾いてるって!もうちょい右!』

『材料よし、小銭は何処?』

辺り一帯には忙しそうな、でも何処か楽しそうな声が響き渡っている。

そう今日は学園祭!

その名も『百鬼夜行祭』。

厳つい名前だが、別に普通の学園祭とは変わりない。
ただ、運営してるのが普通じゃないだけ。

「こらっ!マコト手が止まってる!」

店長に注意され、慌てて手元のキャベツの千切りを再開する。

「去年もああなのか?」

火種係の稲荷が呆気にとられながら尋ねてきた。

「そうだよ、アイツは祭の日だけはテンション高いんだ」

ザッザッザッ…と千切りの手を止める事なく稲荷の問い掛けに応じる。

「よくいるだろ?ハンドル握ると性格変わる奴。それの祭バージョン」
「へえ…意外だな…」

青白い火を起こしながら、前にいるアイツを見る。

「口動かす前に手を動かす!」

また怒られてしまった…

「性格変わり過ぎだろうが…いつものおどおどは何処行ったんだよ…」

そうオレ達の屋台を仕切っているのは、おどおど陰陽師、安倍晴樹。

晴樹は祭の日になると今までの不安げな表情は何処かへ吹き飛んでしまう。

「おしっ!こっちは終わったぞ」
「お疲れ様。販売時刻までぶらぶらしてていいよ」

晴樹がタコ焼き粉とお好み焼き粉を混ぜながら休憩許可を出してくれた。

オレ達の屋台メニューはタコ焼き、焼きソバ、お好み焼きの三種。

調理はオレ、晴樹、撫子さんの三人。

稲荷は火を起こす係。
コンロとか使わずに済んで経費も安上がり♪

味の方も心配無用!
晴樹の料理は完璧だし、撫子さんも寮母のため料理は上手だ。
そしてオレも料理は得意である♪

料理はオレの唯一女らしい特技だ。

だって、大和のお嫁さんになれる様にこれだけは努力したんだ♪

大和は食べること大好きだから、美味しい料理を食べさせたいしな♪


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