人のモノ-2
会話をしながら食事をする3人。川俣からは可愛い彼女の朱莉の自慢や、いかに自分が仕事をしてるかなど、鼻につく会話ばかりをされた。
(相変わらずクソみたいな人間だな。聞いてて疲れるわ。)
そう思いながらもウンウンと話を聞いていた。その間、川俣の目を盗みチラチラとこっちを見ている朱莉の視線には気付いていた。
(気になるかー?♪彼氏の前で他の男に視線を送るとか、いけない子だなぁ。)
そう思いながら食事を終えた。
「あ、ちょっとトイレ。」
川俣は席を立ちトイレへ行った。これはチャンスと見た鉄平が動く。
「あ、俺ちょっと用事思い出したんで行きますわ。これ、お願いします。」
鉄平は一万円を朱莉に手渡した。
「えっ?」
「あ、食事代です。お邪魔しちゃったお詫びに!」
「だ、大丈夫ですよ…」
「いいからいいから取っといて!」
鉄平はそう言って一万円を掌に乗せた朱莉の手を握って頷く。
「…」
イケメンに手を握らせ心臓がドキドキする。
「じゃ!ありがとうございました。川俣さんに宜しく!」
そう言って立ち去った鉄平。朱莉は顔を赤くし、まだドキドキしていた。
掌の一万円札。
「ん?」
何か違和感を感じ札の下を見ると、何かメモ用紙みたいな物があった。
「えっ?」
そこにはLINEのIDが書かれた紙があった。
(これ…、私に?それとも間違って置いてったの…?)
混乱する朱莉。そこへ川俣が戻って来た。
「あれ?神谷は??」
朱莉はそのメモ用紙を慌ててポケットにしまう。
「用事あるから帰るって。食事代だって言って置いてったの、お金」
「へー、なかなか気が利くな。ヘヘヘ、ホテル代浮いたじゃん。」
「や、ヤダ…」
周りを気にする朱莉。2人はレストランを出て車に乗り、ラブホテルに行き2時間セックスをした後、川俣は朱莉をアパートまで送って行き別れた。
部屋着に着替えた朱莉。川俣とセックスしている間にもずっと気になっていたメモ用紙を手にする。
「LINEしろって意味かなぁ。やっぱり間違って私に渡したのかなぁ。あんなカッコいい人が私を相手にしないよね…。でも…食事代のお礼の意味もこめてLINEしてみようかな。」
朱莉はスマホを取りIDを登録し、早速LINEを送る。
「いきなりすみません、朱莉です。さっきはごちそうさまでした。お金の下にID書かれたメモがあって、悩んだんですがLINEしてみました。迷惑だったらスルーして下さい。」
朱莉はそうメッセージを送った。