惨虐な連鎖-1
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『浅井先生、まだ帰って来ないんですか?』
『それが……何回かけても繋がらないんですよ』
もはや《事件》である事は明白であった。
井元彩花は未だに発見にならず、探しに行った担任の浅井唯も、一時間前の通話を最後に音信不通になってしまった。
『あまり大事にはしたくなかったが……仕方がないでしょう』
もう陽は沈んでいた。
夜空には星々が瞬き、多くの家庭では夕飯を楽しんでいる時刻。
教頭は唯の夫である誠也に事の顛末を伝え、全生徒の保護者へ緊急メールを送信した……。
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『唯先生、もうちょいで彩花ちゃんに会えるぜえ?』
『先生の姿を見りゃあ彩花ちゃんも安心するだろうなあ。良かった良かったあ』
唯は真っ暗な視界のまま、長い時間を過ごしていた。
箱バンが止まり、そこから簀巻きのままで何枚ものドアを通り抜けて運ばれた。
この到達した場所はいったい何処なのだろう?
何処かの建物の地下室なのか、それとも雑居ビルの中なのか、それとも山中にある廃墟なのか……。
ガチャンッ……と、冷たい金属音の後、下品な笑い声が起きた。
それも一人や二人の笑い声ではない。
いったいどれだけの人数に、彩花は囚われているのだろう……唯の恐怖は膨らんで止まらない……。
『イヒヒッ!?やったね彩花ちゃん。大好きな唯先生が来てくれたよお?』
『唯先生も見てやってくれよ。彩花ちゃんの無事な姿をさあ?』
「ッッ…!!!」
毛布を取り払われた唯は、開かれた視界の中に彩花を視認した。
……そこには信じ難い彩花の姿があった。
水牛の角か昆虫の触角のように湾曲した鉄パイプがついた椅子に座っている彩花は、制服のままで両脚を伸ばした状態で股間を開き、更に肘で膝裏を押すような形で両手も広げられていた。
虚な眼差しの泣き顔はピンク色のボールギャグを噛んでおり、汗に濡れた髪が、額や頬にへばりついている。
「い…井元…ッッッ!!??」
『っとお!急に走ったりしたら危ねえぜえ?唯先生よお』