惨虐な連鎖-4
全く信用ならない取引きの強要に、唯の表情は軋んでいく。
いや、この男共がその気になれば、彩花も自分も凌辱に曝されるのは必至である。
「ん"ぷぷッ!ぶッぶう"ッ!」
唇から泡を噴き出して彩花は喚いている。
どれだけの恐怖と恥辱に苦しめられて今に至るのか、唯には想像すら出来なかった。
『……昨日、駅前で配ってたビラ、ありゃあ友達かあ?彩花にまでその友達と同じ目に遭わせるつもりかよお?』
「ッッッッ!!!」
今日の彩花の恐怖は、あの日の夏美と同じかも知れない。
だとすれば、こんな残酷なことは無い……。
「……好きに…ッ……す、好きにしなさい…ッ」
(ッ………)
教え子を守ろうとした教師の決意は、その教え子を絶望へと突き落とした。
古芝風花よりももっと深く、そして信頼して尊敬していた教師が、自分の為に犯罪者の餌食に進んでなろうとしている……。
(だ、ダメえッ!その男はなっちゃんをッッ…なっちゃんを拐ってッッッ……!)
唯は男の腕から離されても、全く逃げようともしない。
腕が、脚が震えている。
ギュウッと握られた拳が落ち着きなく揺れ、薄い唇から覗く真っ白な前歯はカチカチと打ち鳴らされていた。
(す…少しだけ我慢すれば…ッ!な、なによ……これくらいの人数なんかッ)
彩花の拘束された椅子の前に、大きくて真っ黒なマットレスが敷かれた。
男共の全員がストッキングを被り、そのうちの四人がカメラを構えてきた。
『ヒヒッ?お待たせしちゃって悪いなあ。機材にゃあ万全を期しておかねえと、せっかくの撮影が無駄になるしよお』
「ッ……!!??」
唯は気づいた。
口止めにする動画撮影にしては、あまりにも機材が本格的である事に。
更に天井の四隅に設置されたカメラや、クレーンのフックや鎖や麻縄が垂れ下がっているのを。
「う"ッッッ!?」
男共は次々と衣服を脱ぎだし、ブリーフ一丁になっていった。
どれもこれも前みごろを目一杯に突き上げ、その頂上に汚い染みを浮かせている。
見ただけで異臭が感じられるような汚布達は、三人に別れて唯へと迫ってきた。
『……このまま《口》でイカせてもイイんだぜ?見境なくチンポをしゃぶりまくる画ってのも、立派な口止め動画になるんだしなあ』
「ッッッ!!!」
クラスメイトが……いや、学校一丸となって池野夏美の捜索をしていたその時、その活動を親身になって理解してくれた古芝風花を凌辱したヤツらなどに……。
いや、犯罪者が云々の以前に、見ず知らずの男の股間を貪るなど、そんな真似が出来ようはずがなかった。