蹂躙の始まり-1
有美は、自分の置かれている状況を整理しようと立ち尽くしていた。
『どういうこと?・・・』
『何?』
「いつまでそんなところで立ってるんだ。こっちに来なさい。」
さっきまでの酔った鬼頭の声ではなかった。
落ち着いた、威厳のある、それでいて優しい言葉だった。
しかし、有美はまるで金縛りにあったかのように体を動かすことができなくなっていた。
鬼頭が後ろから近づいてきて有美の両肩に優しく手を置いて耳元で言った。
「心配しないでいい。こっちに来なさい。」
優しかった。こんな鬼頭の優しい言葉は初めてだった。
鬼頭に促されるまま、ふらふらと歩いて行った。
鬼頭は、ソファに座ると、自分の前に有美を立たせた。
有美は、まだ放心した面持ちで鬼頭の前に立ち尽くしている。
鬼頭は、両手で、有美の両手をにぎり有美に話しかけた。
「怖いか?」
「心配しないでいい。悪いようにはせんから。」
有美の体が、小刻みに震えているようにも見える。
「山下とはうまくいっているみたいだなぁ。」
「山下と結婚するつもりか?」
「・・・・」
「心配するな、俺が責任をもって結婚させてやるから。」
「その前に、有美の体を見せてみなさい。」
有美は、どういうことなのか、まだ理解ができていないように立ち尽くしている。
鬼頭の手が伸び浴衣の帯を解き始めた。
有美は、金縛りにあったように動くことが出来ない。
帯が有美の足元に落ち、浴衣の前がハラリとはだける。
浴衣の隙間から、色白の素肌と純白の下着が垣間見える。
鬼頭はゴクリと唾を飲んだ。
僅かに覗いた下着と素肌に興奮を覚えた。
『これは、思った以上に上玉かもしれん。』鬼頭はそう思った。
鬼頭は、立ちあがると、両手で有美の顔をやさしく掴んで顔を寄せながら、「言うとおりにしてればいいからな。分かったね。」
そう言うと、襟もとからゆっくりと丹前と浴衣を同時に剥いでいった。