妄想-1
有美の目の前で、浩之がカレーライスを食べている。
ここのところ週に1度は浩之の部屋に来ている。
「何がいい？」って聞くと、決まって「カレー」と答える。
『子ども見たい』と思いながら、料理を作るのが楽しい。
『結婚したら、毎日こんな感じなのかなぁ。』
最近、よく結婚生活のイメージを想像する。
朝起きて、朝ごはんを作って、浩之さんを送りだして、お洗濯して、お掃除して・・
お買い物に行って、夕方、お料理を作って、浩之さんが帰宅して、一緒に食事をする。
平凡だが、幸せな毎日。
しかし、どうしても浩之との性生活がイメージ出来ないのだ。
SEXを想像すると、なぜか鬼頭の顔が浮かんできてしまう。
隣の部屋にある、浩之のベット。
そのベットに横たわる有美の体の上にのしかかっているのは、いつも鬼頭部長。
想像すればするほど、鬼頭部長に抱かれている自分を想像してしまう。
あのレディースコミックの劇画のように、浩之のベットの上で両足を広げられ、羞恥の部分を鬼頭に見られている、そんな自分を想像してしまう。
『ヤダ！なんで浩之さんのベットで鬼頭部長に抱かれてるのかしら。』
そしてまた、あの感覚が襲ってくる。
決まって、浩之の部屋に行った日の夜は、マスターベーシュンをしてしまう。
『どうしたんだろう。私、鬼頭部長に抱かれたいと思ってるのかしら。』
『そんなはずはない。だって鬼頭部長は父や母より年上なんだから。』
『そんな人に抱かれるなんて、絶対あり得ない。絶対ない。』
あれ以来、容子には何度も「部長とのこと考えてあげてね。」と言われている。
仕事をしていると鬼頭部長の視線を感じる。視線が合うと、ニヤリと笑ってくる。
その瞬間、ぞくっと震えがくる。ここ数日、そんな状態が続いている。