第九章 高級別荘-1
第九章 高級別荘
小鳥のさえずりに混じって、波の音が聞こえる。
新緑の深い色の中、白い模様がハタハタと通り過ぎていく。
蝶々の動きを目で追いながら、僕は深いタメ息をついた。
「凄い、豪華ですね・・・」
隣りにいる藤本さんに言ったつもりだが、外に広がる景色に視線はくぎ付けだった。
「そうでしょう・・・
ここは滅多なことでは借りられませんから」
藤本さんは嬉しそうに言うと、バシャリとすくったお湯を顔にこすりつけている。
その向こうには新藤さんと秋生が横に並んで、同じように外の景色を眺めている。
大きな浴槽はちょっとした温泉なみで、開け放たれた窓からは木々に覆われた芝生の庭の中央にプールが配置され、その片方の水面がピッタリ浴槽の幅のまま窓まで伸びていた。
『ヤダッー・・・』
『キャハハハッ・・・』
桜さんと、そらちゃんだろうか。
愛らしい声が聞こえる。
浴場は2つあり、隣とシンメトリーに配置されているらしい。
今、男と女で分かれて入浴している。
急に集合場所が変更になり、僕達8人は海辺の高級別荘に来ていた。
買い込んだ食材で女性陣が腕を振るったランチはとても美味しく、満足のいくものだった。
エプロン姿の4人は美しいとう形容詞がピッタリのような気がした。
この人達とこれから・・・。
男達の頭の中は同じだったろう。
秋生などは始終、ニヤけた顔をしていた。