下校、駅までに-2
(え?)
僕の視野の片隅に、影がよぎった。
(誰かきた?)
と、緊張したとたん僕の珍々がゆるんで、某子さんの口に液を放ってしまった。
「すみません……」僕が言うと、某子さんは「ペッ!」と近くの排水口に液を吐きすてた。
(某子さん、気を悪くしたな……)僕は垂れさがった珍々をしまうことも忘れていたとき、
「気を悪くなさらないでね。」某子さんが言った。「私、飲み込むのはダメだから……あの男のも、こうして吐き出すんですよ。」
「いえ、」僕は首を振った。「僕、そんなの求めてませんから……」
某子さんは、僕に顔を寄せてきた。「私、あなたがおひとりだけの時に、お会いしたいと思ってました。」
「?」このひと、何言いだすんだ?と思った。
「あの男の陰部のお相手をしながら、私、あなたの事を考えてました……スキマの向こうで、ジッと見張りしてらっしゃるあなたの事を……
……あなた、あの男が好きなんでしょ?」
たしかに某一郎は好きな男だ。
「……はい。」
「だから、同じことをあなたにしたかったの。
私は正直言って、あの男とそんなに結びつきたくないけど。」
某子さんは笑ってた。
僕は、女のひとってわかんないなぁと思った。
▽
最寄り駅に着いて家に帰る途中、僕は腕をつかまれてグイグイ身体を引っ張られた。
僕は商店街の変な所で直角にカーブして、狭い路地を抜ける前に建物と建物の間に引きこまれた。
「お兄チャン!」僕を引っ張ってた「誰か」が前にまわって抱きついてきた。
それは近所のs学五年の某夢チャンだった。「おかえりなさい、待ってたのよ!」
某夢チャンは、僕の身体をくるりと回した。
「ここ、いいでしょ。ナイショの場所よ。ほら、お兄チャン……」
某夢チャンはコンクリートの地面にあお向けになると、腰を軽く浮かせて下着まで脱いで下半身をむき出しにした。
「ほら、お兄チャン。」某夢チャンは脚を広げる。股間に彫られた溝が外気のもとにさらされた。「テストの点がよかったから、ごほうびほしいの。ここ、ペロペロしてー。」某夢チャンは溝を指さした。
「…… わかったよ。」
僕は某夢チャンの足元にうつ伏せになり、指で示された溝にゆっくり舌を這わせた。
「よかったー…… テストがんばってよかったー……。」
某夢チャンは目を軽く閉じて言った。
(別に、そんな約束してないけど……喜んでるんならいいか。)
その時、僕たちの背後から、
「ちょっと、そこで何してるの!」
小声だけど、はっきり聞こえた。