魔物戦記(真実のかたき)〜紡いではいけない命〜-7
「・・・先、帰ってるな」
「・・・・・・」
ノウェがホテルに着いてから一時間ほどして亜美が帰って来た
「・・・ノウェ、ごめ」
「無理するな」
「無理なんかしてないよ!」
「声も、体も震えてる」
ノウェは話す時期だと思った。話すチャンスだと
「亜美、話さなきゃならないことがあるんだ」
「何?」
「約束してくれ」
「何を?」
「さっきの俺は本性だ・・・本来の俺だ。だからすべて終わったら・・・俺を殺せ」
「えっ!」
「俺も一介の魔物だ・・・いつおかしくなるか解らねぇ・・・だからお前が俺を殺すんだ」
「そんなこと出来ないよ!」
「俺が持っている日本刀、斬魔刀はこの世で唯一原種や稀少種を殺せる刀だ。人間でも使える」
「そうゆう事じゃないよ!」
「お前には出来ないんじゃない、お前にしか出来ないんだ!」
「・・・でも」
「この世には語られない事がある。語ってはいけない物がある。紡いではいけない命がある。だから」
「じゃあノウェが生きていた証拠を消すっていうの?」
「魔物が居た世界を空想にするんだ」
「そんなのイヤ!」
「お前が覚えていてくれるならそれでいい」
「・・・そんな、こんな事ってないよ」
亜美は力無く泣き崩れた
「ごめん・・・本当にごめんな」
亜美は日が上っても泣き続け、ノウェはそれ以上は喋らなかった