魔物戦記(真実のかたき)〜紡いではいけない命〜-5
「やっぱり変化だったのね」
「そうさ!俺はウェアウルフだ!紛れもねぇ原種だよ」
「亜美、手を出すなよ・・・あいつは俺が殺す!」
「でも、やつは一人じゃないはずよ!」
ノウェの雰囲気が変わった本来のバンパイアの姿に戻る
大きな翼、長く伸びた牙や爪、膨大な魔力
その姿たるや悪魔さながらである
「一人じゃない・・・だからなんだと言うのだ?」
初めて見るその姿に亜美は少し戸惑う
「わ、私も手伝うわ」
「大層な口を聞くな小娘、手を出すなといっている」
「・・・でも」
「去ね」
その言葉と同時に凄まじい殺気が亜美を包む
「その程度で役に立とうなど片腹痛いわ!」
「別れの挨拶は済んだかよあぁ?楽しんだらすぐにルイス君の所へ去かせてやるよ」
「フム・・・貴様も聞こえておらぬようだな・・・よほど死にたいとみえる・・・聞こえぬ耳など」
『耳など』だけが後ろから聞こえる。だが、気付いたときにはもう遅かった
「邪魔なだけであろう?」
「ぐぁぁ!」
ラギの両耳は爪で切り落とされた
「どうした?ウェアウルフはスピードに長けていると聞いたが?」
ラギは距離を置く
「(クソ!ウェアウルフの俺が目で追えねぇだと!)テメェ・・・何者だ!」
「愚かな、何をいまさら・・・見て解らぬか?バンパイアだ」
「ありえねぇ!だってあいつは」
その時、ラギの意識からノウェの姿が消えた
そして、それと同時に左肩に激痛が走り、左腕の感覚を失う
「ルイスはこんなに早くなかった、と?」
「うっぐぁぁぁぁぁ!」
「魔力を読まなかったのか?あの時のあやつは魔力の20%も出ておらぬわ!その上コカインを飲んでいた故に正気では非ず、あやつが本気になれば我を殺すことなど造作もないわ!」
「っぐ」
またラギは距離を置く