第五章 鬼ごっこ-1
第五章 鬼ごっこ
皿に山盛りにあったサラダが、あっという間に消えた。
ムシャムシャと咀嚼を繰り返す裕君の口の中には、かじりついたパンとベーコンエッグが詰め込まれている。
「そんなに・・慌てなくても・・・」
呆れるように呟いた私だったが、心は嬉しさでいっぱいだった。
「だって、腹、減ってたんだ・・・」
裕君はゴクゴクとミルクを喉に流し込み、一息ついたような表情で言った。
「フフッ・・・」
そんな夫が可愛く思えた。
「頑張ったものね・・・」
言った途端、顔がほてってしまった。
「あ、ああ・・・」
裕君も少し、顔が赤い。
浴室での情事の後、二人は遅めの昼食をとっていた。
「上書き」ビデオを観た二人の欲情は消えることなく、身体を休めるはずだった入浴中に再び燃え上がってしまった。
それは無理もないことだと思う。
一昨日、二人は別々に三人に犯されるという、
レイプまがいの4P体験をした。
しかも、その映像を二人で喉を鳴らしながら見続けたのだ。
それまで家に帰ってからも、二人はセックスどころかキスさえしていなかった。
互いの強烈な体験に、中途半端な気持ちで交わることができなかった。
だから、気持ちが吹っ切れた二人は欲望に素直に従ったのだ。
激しいセックスを二度も続け、やっとのことで欲情の火を消すことができた。
お腹がすくわけだ。
私も裕君につられるように、パンにかじりついた。
「フフッ・・・」
自然と笑みがこぼれる。
二人は顔を見合わせながら、幸せな食事を楽しむのだった。