屠畜-5
一番言われたくないであろう台詞を、男共は吐きつけた。
報道記者の使命感など元から無く、ただの《仕事》だったと嘲った。
どれだけ煽られても、風花が男共の期待する答えを口にする事はない。
例え死んでも《敗北》を選ぶ事は無いと分かっているからこその罵声であり、それは風花の険しくも歪みきった表情が証明していた。
『……たまんねえなあ、その顔……「さっさと死んじまえ、このサイテーのレイプ魔」って思ってんだろ?』
眼球がこぼれ落ちそうに思えるほどに、目が見開かれていた。
皺の刻まれた眉間から伸びた眉毛は鋭くつり上がり、ギリギリと鳴る歯は歯茎が見えるほどに剥き出しになっている。
憎悪の感情しか読み取れぬ凄みに溢れており、男共を虜にした幼さや美しさは一欠片すら残されてはいなかった。
「……勝手にバカな妄想して笑ってればイイわ…ッ!」
風花はリーダーの鈴木だけを睨み、怒りに声を震わせて歯向かった。
この身体には闘う術は無いと分かりきっている。
であるならば、決して折れるはずがない〈意志〉を見せつけてやるしかない。
「なにが『感じる』よバカッ!!逆上せてバカな台詞言ってんじゃないわよッ!貴方達に触られたって、ただ気色悪いだけなのよお!!!」
曝されて弄られる胸の尖端が騒ぎだしているのを風花は感じている。
しかし、それは男共が話す快感≠ネどではない。
「触られたくない」という強い思いが触られている部位に意識を集中させてしまい、その結果として大袈裟な反応となって表れているだけ。
それは確証のある、風花の《答え》であった。
『クククッ!カッコイイじゃねえか風花ちゃんよぉ』
「ッッッあ"あ"ッ!!??」
強気な台詞を叫んだ直後、風花は舌の根の乾かぬうちに悲鳴をあげてしまっていた。
リーダーの鈴木の人差し指が、薄布の上から肛門を突き、立てた指先でコリコリと擽ってきたのだ。
「どッドコに触ってッッ…!?……ッッんがあッ!!!」
風花の尻はグンッ!と鋭く持ち上がり、更にドスン!と落下してベッドに打ちつけられた。
身体の中でも一番汚らしい部位ならば、絶対に触られたくない≠フは間違いない。
『ドコを触られてるかは風花ちゃんがよ〜く知ってるだろ?なあ、ドコをコリコリされてるか言ってみろお。簡単な質問だぜえ?』
「んぎい"ッ!?こッこの変態…ッ!……あ"ぐッ!?」
デリケートな部位は、薄布がしっかりと守ってくれている。
いくら爪を立てて擽ったとしても、その皮膚に傷がつく事はなく、しかしながら強めの刺激だけは余す事なく伝わっていく。
『イヒヒ!こりゃスゲえ暴れっぷりだなあ?ドコがそんなに「イヤ」なのか、しっかり口に出してお願いすりゃあ止めてくれるかもなあ?』
「ぐッう"ぅ"ッ!ふはッ!?がはあッ!し、しつこいのよバカあぁッ!!」
汗だくの太腿や脹脛に痙攣が起こり始めていた。
尻の振り幅は次第に狭くなっていき、激情の形相にすら疲労の色が見え始めている。
(ッッ…!?……そ、そんなッッッ!!??)
抵抗すら叶わぬと翳りの見えた瞳に、風花を奈落へと突き落とす光景が映った。
長い陰毛をはみ出させた股布の下部に、色濃くなった小さな円が浮かんでいた。
それは擽られる肛門への恥辱の刺激と呼応してジワリと拡大を見せ、その潤いは照らしてくるライトを反射させてキラキラと輝いた。