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『Game of M』
【ミステリー その他小説】

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『Game of M』 第1話-1

 ふと、翔吾は天井を見上げた。

剥き出しの鉄骨の隙間から月明かりが地面にある水たまりに反射し星の様にキラキラと光っている。

 倉庫の様な建物の中を翔吾は一歩、一歩とゆっくり奥に進んでいく、

 突然、

 ドンッ!!

 と響く音に翔吾は体を低くし音のした方へ身構える。

 そこには一見して欧米人だと分かる長身の男が腰を曲げ両手を前に突き出した獣の様な格好で身構えていた。

 翔吾は右手を相手に突き出し手招きをして相手を挑発した。

 相手はすぐにでも翔吾を襲ってきそうだがなかなか襲って来ようとせず、じりじりと間を詰めてくる。

 2人の睨み合いが続く、2人の距離はすでに大分詰まっていた。

「来いよ!」

 翔吾が叫んだ瞬間、男が弾かれた様に跳躍し、翔吾に正面から左右のパンチのコンビネーションを放った。

 翔吾は両拳を顎の側に置き、上半身の動きだけで攻撃をかわす。

「はぁっっ!!」

 男に向かって右の拳を突く、

 が、一瞬早く反応した男は身を屈め、翔吾の拳をかわし、腰を捻り反転して右足を振り上げ、翔吾の死角になった右頬に踵をヒットさせた。

 ダメージで体がぐらつく、

「ぐっ、うぅっ」

「ハッ、ハァァァ〜」

 男はチャンスと判断したのか一気に畳み掛けようと翔吾の顔面めがけて右腕を振り下ろす。

 ビュッッ!

 という音がして男の拳が翔吾の長い前髪をかすめる、間一髪で相手の攻撃をかわした翔吾は右手で男の右手を掴み、真上に向かって跳躍する。

 体を斜めに向け男の顔面に狙いをすまし自分の左膝をめり込ませる。

 ガクッ、っと男は頭を垂れる形で地面に膝を付いた。

 そこに着地した直後に反転して勢いをつけた翔吾の蹴りが襲い、男が吹き飛び壁に叩きつけられ、

 ドーンッ!!

 と派手な音響き、男は意識を失った。

「はぁ、はぁ、はぁ…ふぅー」

 翔吾が荒くなった息を整えていると、頭上から大きな声が響いてきた。

『Winner is 翔吾 澤村!!!』

 辺りが真っ暗になり歓声が聞こえてきた。

 炭酸のジュースの蓋を開ける時の様な音が聞こえると横から光が漏れ、目の前の扉が開いた。

 眩しさに目が慣れると目の前には数百人の人がみんな翔吾に向かって拍手をしたり、口笛を鳴らしたりしていた。

 ステージの端にいたマイクを持った男が大きな声で叫ぶ、

「第1回 スーパーバーチャルファイト世界大会チャンピオンは日本代表『澤村 翔吾』だぁーー!!!!」


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