春の夜の回想-2
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この「子どもハウス」には、私以外の小っちゃな子は見かけなかった。
でも、お姉さんたちといると時間を忘れた。遊んでも、お勉強しても、ダンスに合わせて歌っても……そしてたびたび「ドクトクなひと」と会うことがあった。
「ドクトクなひと」はみんな男のひとだった。
ドクトクなひとが訪ねてくるときは、ふだんと違う壁にいっぱい鏡がつけられた部屋にいた。
お姉さんたちは顔上半分にお面をかぶり、おっぱいがまる見えになるドレスを着ている。
そして私は真っ裸だった。
ドクトクなひとも顔上半分にお面をかぶってる。そして真っ裸。
私は身近に男のひとがいないから、いつもおチンチンに目をそそいでいた。
ドクトクなひとのひとりは、私をヒザの上に抱き上げると「子ども用のたばこ」を手渡した。
それはホントは「禁煙たばこ」と呼ばれてる、電気仕掛けのタバコだった。
そのたばこを吸うと、先っぽが光る。そして唇から煙がこぼれる。だけどその煙は水蒸気で、渡されるたばこによってイチゴやメープルシロップやオレンジの匂いがした。
私がそのたばこを吸いはじめると、ドクトクなひとのおチンチンがニュッと硬くなる。
ドクトクなひとも、たばこを吸いはじめる。それは本物の、草が焼ける臭いのするたばこだった。
「ねぇ、」ドクトクなひとが言う。「硬いおチンチンを、握ってモミモミしてよ。」
私は言われたとおりたばこをくわえておチンチンをモミモミした。
ドクトクなひとは「むう、むう、むう……」とうなり、私にたばこの臭い煙を吹きつけるとおチンチンの先から白いオシッコを垂らした。
「いいねぇ……、いいねぇ……。可愛いねぇ……」ドクトクなひとは新しいたばこに火をつけて、私の頭を撫でた。そのひとは来るたびに、私に同じことを求めて同じ言葉をかけてきた。
「タバ子ちゃんも、本物のたばこを吸えるようになってね。」
そのドクトクなひとは、私をそんな変な名前で呼んでいた。