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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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そして、初めてのお泊りへ-4


「あ、はい、もちろん、です。うちに泊まってもらえば」

 そうか、平日に行くとしたら、しのちゃんはそうそう学校を休めないからそうなるよな。しのちゃんが泊まりに来る。俺の返事が変なところで間が空いたのは、一瞬胸が妙に高鳴ったからだ。

「ありがとう。オーナーさんにまた話してみる。だからって宮古に行くことになるかどうかはわからないけど」

「はい、俺はいつでも大丈夫です」

 さおりさんがにっこりと笑った。その笑顔の口から覗く前歯や舌、しのちゃんが泊まりに来るかもしれない期待。前頭前野からのストップ信号が切断され神経と筋肉が弛緩する。テーブル越しのさおりさんの位置からは当然見えはしないのだけど、ふくらみかけた股間をごまかすようにビアグラスに半分ほど残っていたワインを一口で飲み干した。



 月曜日の便は休み明けの反動もあって座席の三分の一も埋まれば上々だ。LCCの損益分岐点は搭乗率で七割と言われているので営業担当も支店長も頭が痛いだろうけど、カウンターでチェックインを担当する俺にとってはメリットがある。まあ、あんまりやっちゃいけないんだけど、さおりさんを比較的足が伸ばせる座席にアサインすることが簡単にできるからだ。
 さくら太平洋航空も他のたいていのLCC同様、座席の事前指定には別途料金をいただいている。けど、この季節に搭乗するPAXはほとんどがビジネス客なので、足が伸ばせる最前列席にどうしても座りたい、というPAXはあまりいない。実際今日も、ACHKと四席ある最前列はすべてアベイラブル(空席)だ。
 さおりさんから黒いボストンバッグを受け取り、プライオリティ(優先)タグをつけてカウンター裏のソーティングエリア(荷捌き場)へ送り出す。このタグをつけておけば、宮古島空港でいちばん最初にさおりさんのボストンバッグを到着ロビーのターンテーブルに載せてくれる。

「お兄ちゃんの会社って、チェックイン機械でやるんじゃないんだ」

 スーツ姿のさおりさんがレシート型の搭乗券を受け取りながら言った。

「ええ、東京や福岡では機械なんですけれど、まだほとんどは有人対応です」

「そっちのほうがいいなあ。スマホで機械だと、本当にちゃんとチェックインできたかどうか不安で」

「貴重なご意見として上に伝えますね」

 俺とさおりさんは顔を見合わせて笑った。ロビーには搭乗客の姿は少なく、うちの社員もオフィスかエプロンにいる。多少の私語を咎める目はない。なんといってもラッキーなのは今日は琴美がシフト休みということだ。いたらこの光景を見てあとで「誰?誰あの結構かわいい女の人?まさか彼女?」とかなんとか言ってくるのは目に見えている。
 さおりさんは結局、お店を引き継ぐ話になるかどうかはともかくとして宮古島のオーナーさんと会うことになった。往復の航空券代と宿泊費の一部をこっちのオーナーさん ―綾菜ちゃんの母親だ― が持ってくれることになり、俺もなるべく運賃が安くなるような予約プランを提案した。で、月曜日発の火曜日戻り、結果的に俺のシフト休みの前日に出発して翌日戻ってくるスケジュールでさおりさんは宮古島へ出発する。しのちゃんは学校が終わったらいったん自宅に戻り、仕事が終わったら俺が迎えに行くことになった。

「すみませんお兄ちゃん、しののことよろしくお願いします」

 カウンター越しにさおりさんがぺこ、と頭を下げる。

「はい、ちゃんと見守りますので、安心してください」

「しのには言ってあるんだけど、うちの冷蔵庫に青椒肉絲と水餃子とおこわが入っているから、よかったらそれを持っていって夕ご飯で食べてね。あ、食卓にダブルソフトもあるからそれも朝ご飯用に」

「ありがとうございます、じゃあ遠慮なく」

「しのがお兄ちゃんの言うこと聞かなかったら叱ってね」

「や、しのちゃんそんな、わがまま言ったりしたことないですよ」

「えー、私にはわがまま放題なのに……それと」

 さおりさんがカウンターに身をあずけるように近づき、俺に顔を寄せる。かなりの至近距離でささやくように言う。

「しのと、あんまりエッチすぎることしないでね」

 そう言っていたずらっぽく笑う息が俺の鼻腔に流れ込む。いろんな意味で固まる俺に、手元のインジケーターが搭乗準備完了を通知する。これからPAXを機内に誘導してドアクローズをしなきゃいけない、勃起してる場合じゃねぇ。
 最後に搭乗したさおりさんが1K、つまり最前列で機種に向かって右側の窓際の座席に着く。CAさんと ―今日は柚希ちゃんは乗務してないっぽい― 最終確認を交わしてボーディングドアをクローズする。さおりさんが座席から俺に向かって小さく手を振った。
 今日は比較的暖かい南風が吹いているので、夏季と同じようにRWY21から南南西へ向けて737-800は離陸していく。向かい風を受けて飛ぶことになるけれど、いつもの飛行ルートだからほぼオンタイム(定刻)に宮古島空港に到着できるはずだ。さくら色にカラーリングされた機体が右旋回してさらに上昇し、秋晴れの空の中に見えなくなるまで見送ってターミナルに戻る。出発後のいろんな手続きや片付けをし、報告書を書いて支店長とミーティングの打ち合わせをする。さくら太平洋航空では半年に一度管理職とのミーティングがあり、業務上の問題点の相談や今後の希望などについて割合にざっくばらんに話合うことになっていた。俺と支店長とのミーティングは十二月に入ってすぐ、と決まり、日報をPCに打ち込んでいると定時が来てみんな三々五々帰宅していく。
 十五分くらいのミニ残業を終えてPCを落とし、ターミナル側のドアの施錠を確認する。俺以外無人のオフィスにいるとどうしてもロッカーに一瞬目が行くけれど、今日はしのちゃんが泊まりに来るし、それに琴美は休みで麻衣ちゃんはたぶんいつものようにちゃんと鍵をかけているだろうし。


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