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こいびとは小学2年生
【ロリ 官能小説】

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そして、初めてのお泊りへ-2


 速攻で帰ってきて脱衣所を覗きます。いや、冗談でもあんまり品が良くないな。はい、お風呂ごゆっくり。
 さおりさんと空いている左手を頭の上で俺に向かってぶんぶん振っているしのちゃんが部屋に入るのを確かめてミラージュを出す。いったん俺の部屋に寄ってウォークマンやしのちゃんに付き合って(付き合わされて)入った書店で偶然見つけたちょっとおもしろそうなミステリーの文庫本を置き、駅前につながるアンダーパスをゆっくりと走らせる。コインパーキングのカーシェアスペースにミラージュを返却し、歩道橋の手前にあるコンビニで秋物語と白ワインを買ってさおりさんのアパートに向かう。二十五分くらい経ったからもうお風呂からあがっただろう。
 二段階で鳴るドアチャイムの一音目が鳴るやいなや、もこもこしたココア色のパジャマを着たしのちゃんがドアを開いた。無意識に右手を置いたしのちゃんの湿った頭からコンディショナーのフローラルな香りがする。
 キッチンで鍋を温めていたさおりさんが、俺が持っているコンビニ袋を見て、やだお兄ちゃん、気遣わなくていいのに、と笑う。そのさおりさんの、風呂上がりのどすっぴんの笑顔にどきん、と胸が鳴った。化粧していない ―まあ、普段からもナチュラル寄りのメイクだけど― 、いつもよりもはるかに幼く見えるさおりさんの笑顔、やっぱりしのちゃんとそっくりだ。
 大き目にカットされた牛肉がごろんと入ったビーフシチュー、しのちゃんご自慢のアスパラサラダ、そしてやっぱり日本人ならシチューでも米でしょとばかりに茶碗に盛られたご飯。三人で、いただきます、と声を合わせ、まずはフォークでアスパラとレタスを口に運ぶ。真向かいで小さく鼻をひくひくさせながらドヤ顔で俺を見ているしのちゃんに、おいしい、しのちゃん上手だね、と賛辞を送る。まあ、アスパラサラダへのしのちゃんの貢献はレタスをちぎるのとドレッシングをかけるのだけなんだろうけど、最高に可愛いご満悦な表情を見ることができるのならいくらでも褒めちぎれる。よく冷えたビールもうまい。

「お兄ちゃん、運転お疲れ様でした。ビールとワインもありがとう」

 さおりさんが、右手に持ったビールグラスを顔の高さくらいに掲げる。ちょっと子供っぽいそんな仕草がすっぴんのさおりさんによく似合っていて、また胸が鳴ってしまう。

「あ、全然大丈夫です。今日すごく楽しかったですね」

「あたしがビール入れてあげる」

 秋物語の缶を手に取ったしのちゃんが、俺のビールグラスにやけに生真面目な顔をして秋物語を注ぐ。ちょっと時間はかかったけど、泡とビールの見事な黄金比がグラスの中に形成される。わあ、上手。思わずシンクロした俺とさおりさんの声に、しのちゃんがまた得意気な表情を見せる。

「おいしい」

「どれがー?」

「全部。ママのビーフシチューも、しのちゃんが入れてくれたビールも。でもしのちゃんのサラダがやっぱりいちばんかな」

「でしょ?あたしのサラダは、愛がこもってるんだから」

「なにこの子、なっまいきー。『愛』だって」

 スプーンを持ったまましげしげとしのちゃんを見るさおりさんの瞳には、言葉とは裏腹な母性というか慈愛が浮かんでいる。なんだかこっちも幸せな気持ちでいっぱいになる。こういう光景の中にいることができてよかったな。
 しのちゃんと一緒に食器を洗ったり今日買ってきた服や文房具を見ていると、あっという間に時刻は十時だ。一日はしゃぎまわったしのちゃんのまぶたが重そうになっている。

「しの、お洋服見るのはまた明日にして、もう寝なさい」

 ううん、と、ぐずったような声を出しながらしのちゃんがベッドに上がる。あお向けに横になったしのちゃんに毛布をかけていると、背後でトイレのドアが閉まる音が聞こえた。


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