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ある熟女の日々
【熟女/人妻 官能小説】

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お守り-1

 学校から帰って納屋を覗く。納屋には、お風呂の焚き付けにと、以前、両親が美容室やドライブインからもらってきた雑誌がいっぱいあって、中には卑猥な内容の雑誌もあるのだ。下の姉が忍び込んで雑誌を漁っては、母に「こら! また! 泥棒猫が!」などと咎められていたものだ。下の姉も悪びれることなく「あっかんべー」などと応酬していたが…。

 わたしも同じように納屋に出入りしていることは母も気付いているようだが、何も言われたことはない。下の姉のように、雑誌の束をとじてある紐をほどいたまま散らかしたりしていないからだろうか…。

 わたしなりにもいろいろ気を遣っている。納屋に出入りしてもおかしくないように、中学校までの教科書や学習雑誌はみんな納屋に移していて、ときどき『復習』でもしているかのように、本を持ってきたり、また戻したりみたいなことをしている。

 納屋の雰囲気も好きなのだ。明るくもなく、真っ暗でもなく。ひんやりとした空気の感じがいいし。こんな納屋が八幡さまに経っていたら、上の姉も農機具小屋などに行かなくてもよかったのに…とか、吉田京子も虫に刺されずに済んだかもしれないのに…などと思ってしまう。

 そしてなにより、母にも納屋に葉いろいろ思い出があると思っている。そんなことはとても聴くことはできないけど…。でも、いつかは訊いてみたい…。

 今日は雑誌の束の山がいつもと違うようだ。この前廃品回収のトラックが来て、古い家具を運んで行ったからだろうか。家具があったあたりの雑誌の束の山も動かされたようで、下の方にあったものが上の方に積まれて日の目を見たようだ。

 部屋に持ち込むために手近なところから数冊抜き取る。さすがにハダカのままでは持ち歩くのは憚られるからカバンの中に入れ…。部屋に入ったらすぐに読み耽る。そして、オナニーに耽る…。不貞を働いている人妻が不倫相手のアレを口で…というシーンが出てくる。吉田京子から自分の母親がしていたことを聞かされていたので、生々しく映る。

 京子の母親だけではなく、わたしの母も同じようなことをしているのだろうか。不倫相手がいるかどうかはわからないが、少なくとも父とはこのようなことをしているのだと思うと、身体が熱くなってくる。そして、二人の姉も…。学校の先生にしても同じこと…。現在進行形でなくても、まさに老若男女、みんなこういうことをしていると思うと、なんだか狂おしい気持ちになってしまいそうだ。

 でも、わたしには実体験がないから、ただただ、アソコを指で刺激するだけ…。京子にも話したとおりオナニーしているときに頭に思い浮かべる具体的なイメージがないのだ。漫画や小説は、なんというか『導入部』のようなもので、快感が高まってきたら雑誌は放り出して目を閉じて行為に没頭する。そして気持ちよくなって、最後は『絶頂』に達するのだが、漫画や小説の中で女の人がセックスして味わっている『絶頂』と同じなのかはわからない。だからと言って、母や姉に訊くわけにもいかないが…。

 夕方になって母と食事をする。料理を口に運ぶ母の口元をぼんやりと見ている。

 (この口でお父ちゃんや、もしかしたらどこかの男の人のアレをしゃぶったりしてるんか…)

 「なんや? ご飯粒でもついてるか?」
 「えっ!? な、なんでもないっ」

 母に怪訝な顔をされてしまった。

 「もしかして、好きな人でもできたんか?」
 「ちがうよ。そんなんじゃないっ」

 母が見当違いな邪推をしているわけではなく、ただわたしをからかっているだけということはわかっていても、ついついムキになって否定してしまった。

 「いやなに、アンタもそういうお年頃やないかと思ってな」
 「まあ、そうかもしれないけど、わたしは全然…」

 上の姉は、高校生のときには付き合っていた男の人がいたから、母もそう思ったのだろうか。

 「△子姉ちゃんはどうなんだろうね?」

 下の姉を話題にしてみる。

 「アン子はああ見えて、なかなか純情やからな。アンタの方が先に嫁に行くんやないか?」
 「そんなことないと思うけどなぁ。だいたい、わたしは純情じゃないってどういうことよ」
 「アンタが純情じゃないとは言うておらんが。アン子は純情やと言うただけだけどよ? アンタ、純情やなかったんか?」
 「もう、意地悪言うて。純情じゃない方が、はやく嫁に行けるんか?」
 「さあ、どうやろなあ」
 「お母ちゃんは随分早うにお嫁に行ったんやったな」
 「そうや。例外もあるってことやな」
 「よう言うわ、お母ちゃん」
 「まあ、いい相手がはやく見つからんことにはなあ。ゴムならあるからお守り代わりに持っといたらええんやないか?」
 「ゴ、ゴム!?」

 あやうく飲んでいたみそ汁を噴き出しそうになる。

 「ほうや、ゴムや。ああ、ゴムとは言わんのか? スキンか?」
 「…なんでそんな急に」
 「ああ、この前○子が帰ったときには持たせたんやで? △子にも言うたら持っていったわ」
 「…ぜんぜん純情やないやないの」
 「純情かどうかと、ナニをするかしないかとは全然別の話やで。ええやないか、お守りがわりや」
 「…持ってくかどうかは別にして、そんなこと、人に喋ったりせんといてよ。『ウチの娘たちにはゴム持たせてます』なんて」
 「はっはっは。わかったわかった。アンタも十分純情や(笑)」

 まったく母にはかないません。…が、今日はちょっとだけ反撃してみたくなった。

 「そういうお母ちゃんは使っとらんのか?」
 「あたしか? あたしはほとんど使わんなあ。なんせ、そういう必要がないからなあ」
 「うそ! よう言うわ。毎晩まいば…」

 母にハメられてしまいった。母は真っ赤になった私を見て黙って笑っている。


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