ブラザー-8
程よく酔った3人は歌いまくる。鉄平がいじるおかげで彰にも良く話しかけるようになった亜希子。
「彰くん、初めは大人しくて根暗かなって思ったけど、歌上手くて良く喋るんだねー♪」
「えへへ!」
まともに女と喋れて嬉しくて仕方ない。
「亜希子さんのNiji-U聴きたいなー!」
「分かった!任せて♪」
何を歌わせても上手く、踊りもキュートだ。良く笑いこの時間を楽しんでいるようだった。
「あーもう2時間も経ったんだー。楽しくて時間が過ぎるの、早ーい♪」
「あっと言う間だったね!」
「うん。」
亜希子は普段つまらない思いをしている為、ここぞとばかりにストレスを一気に発散して気分最高状態だった。気分が良すぎてだいぶビールを飲んだ。記憶を失くすまでは行かないが、それこそ箸が転がっただけでも笑い転げそうなぐらいにテンションが上がっていた。
「あーん、もう終わりの時間だねー。何かこのまま帰るのつまらないなー。」
別に深い意味は無かったが、素直な気持ちを口にした。
「じゃあさ、3人でホテル行こうか!」
酔ったノリで明るく言った鉄平。さすがに引くんじゃないかと心配した彰だったが、ハイテンションの亜希子は全く引かなかった。
「えーっ♪」
「いいじゃん!ねー行こうよぉ、亜希子ちゃーん♪」
イケメンにお強請りされた亜希子はたまらない。
「えー?行っちゃうぅ??」
「行こ、行こ!俺はヤラなくてもいいけど、彰がヤリたくて仕方ないんだってさー!」
「いっ…!?」
いきなりとんでもないフリが飛んできて焦った。だが亜希子はニヤーッと笑い、
「やーだぁ、輝くぅん…、私としたいのぉ?」
と肘で突いて来た。
「いやぁ、っと…、は、ハイ…♪えへへ!」
「やーん、もう♪やヤッちゃうぅ??」
「や、ヤッ…ちゃう!!」
「キャハハ!」
完全に乗って来た亜希子。
「じゃ、行こっか!」
「ハーイ!3Pにレッツゴー!」
亜希子は二人の間に入り二人の腕を抱きしめ跳ねるように歩いていた。
(マジ!?僕、この人とセックス出来るのか…!?)
急にドキドキして来た。そしてチラッと鉄平を見ると、彰に向かってウィンクした。
(か、感謝しかねーっす!!イケメン、恐るべしー♪)
もはや鉄平の事を兄貴と思えて来た。3人はカラオケ店を出ると、大通りから一本路地に入って少し歩いた先のラブホテルに向かう。
「私たち、今から3Pしまーす!」
ホテルに向かう途中、すれ違うサラリーマンにそう叫んだ亜希子は相当酔っ払い、かなりのハイテンションだった。むしろ彰の方が恥ずかしくなった。
いよいよホテルが目の前に来た。亜希子は2人を引き連れるかのように先頭立って歩き中へと入り、そして自分で部屋を選んでエレベーターに乗る。
エレベーターを降り部屋に向かい、303号室のドアを開けると、3人は中へと傾れ込むように入って行った。