昼下がりの喫茶店で-2
輪姦されているとはいえ、若く勢いのあるぺニスを何度も受けいれているうちに、育乃はそっと相手の身体を抱いて撫でる余裕も出てきた……。
次々と灰皿に吸殻を並べながら、そんな回想をくり広げていた育乃に、絵穂の鋭利な言葉が届いた。
「通報…… されないんですか?」
育乃は首を振った。
「私が署を訪ねたとか、署の関係者がウチに来たとか、そんなの誰かが見てて旦那に告げたりしたら……イヤだもん。それに……」
育乃は絵穂にもたれかかってささやいた。
「……これで、三度目なのよ。」
絵穂は驚きながらも小声で言った。
「……三度目、ですか?」
「そう……。 場所は違うし相手もそれぞれ違うと思うのよ。それも通報しなかったことがバレたら……イヤだもん。」
「奥様……」絵穂は小指を立てて、育乃の小指をつついた。「わかります…… 奥様のお気持ち。言えませんよね…… それを私にお伝えしてくださってありがとうございます。私、誰にも言いません。」
育乃は絵穂の小指に小指をからませ、約束の指切りをした。そして額と額をくっつけて笑顔を交わした。
年齢の差も立場の差もない、素直なつながり意識がふたりには存在していた。
○
育乃と別れて帰途についた絵穂は、雑居ビルの谷間に入りこむと、さっき育乃のバッグからかすめ取った一本の煙草に火をつけ、一枚のインスタント写真に目をやった。
それには全裸であお向けに寝る(目は布に隠されているが)育乃に、下半身裸の少年がのしかかっている姿が写っていた。
その身体の位置から、少年のぺニスが育乃の膣に挿入されていることは明白であった。
絵穂は、その写真に煙草のけむりを吹きかけながらニヤニヤ笑った。
「あの子たち、うまいこと輪姦してくれたわね。奥様みたいなクリエイター気取りのひとって、モノを盗られたとかカラダを傷つけられたとかがなければ、通報しないものなのね。」
「ああは言ってたけど奥様『私、まだまだ若い男の子たちを襲う気にさせるカラダなのよ』って、まんざらでもない感じだったわね。何よ、この手は。」
その写真にとらえられた育乃の手は、ぺニスの真裏の尻の割れ目に伸ばされていた。
「もう、自分がセックスの主導権とってるじゃない。」
絵穂は吸殻を携帯灰皿に押し込むと、街に戻っていった。
「また輪姦メンバーを募らなければ…… 奥様みたいなひと、セックスレスをこじらせるとヤバいからな…… まだまだ旦那さんと夫婦でいてくれなけりゃ、親も私も困ってしまうもん……」
【おしまい】