秘密の社外業務-6
「あら、そんなに香水くさかった?」
ベッドに腰掛けたまま、全く焦る様子のない佳織と、隼人が対面する。
隼人の誘いを断って、佳織は内緒で理央の部屋に来ているのだ。
理央の口の中がカラカラに渇いていく。
「ほ、本間さん心配してくれて、飲み物とか買ってきてくれたんだ」
上擦った声で、理央は隼人に話しかけた。
「ごめん、理央。俺、部屋入るなんて、馬鹿なことした。悪い」
申し訳なさそうな理央の方を振り返って、はぁ、とため息をついて隼人は言った。
「こちらこそごめん……本間さん、心配してきてくれるなんて思ってなかったし、本間さんと何かするつもりとか、なかったよ……ごめん」
理央と、隼人のふたりで女性を誘い、複数プレイをすることが時折あったが、そののち、女性がどちらか片方を誘う場合がないわけではない。
顔の好みの問題もあろうが、その際のリピート率は圧倒的に女性が話しかけやすそうな雰囲気を持つ、理央のほうが多かった。
そうした場合、隼人や女性とのトラブルを避けるために、一対一で関係を持つ場合には隼人に申告するようにしていた。
先の隼人への謝罪は、そうした申告を怠ったと思われたくがないために出た言葉だった。
「ふふ、武島くんは本当に佐藤くんのことが好きね。心配して来ちゃうなんて」
「心配しますよ、そりゃ……あんな顔色悪くしてたら。でも、本間さんが、理央と何かする気で部屋に来たんだったら……混ぜて欲しいに決まってる」
ギシッとベッドが鳴る。
ベッドのシーツに隼人の右膝が沈んだ。
「ぼ、僕、そんなつもりなかったってば」
理央は思わず手を伸ばす。
「本間さんは、そんなつもりだったと思うけど?」
隼人は佳織のスプリングコートを剥ぎ取ると、顎を掴んで唇を奪う。
「ん、ぅっ……ん」
理央の目の前で唇が密着する音が響く。
佳織は抵抗する様子はない。
ーー二人に襲われたら喜んで抱かれるのに。二人だから、して欲しいの。
先の願いが叶うのだから。当然だろう。
理央にはとても残酷な光景だった。
隼人は強引に佳織のジャケットを脱がし、カットソーと、その中に着ているピンク色のキャミソールをたくしあげる。
黒の下着に包まれた、柔らかそうな白い胸が露出する。
隼人は靴を脱ぎ、ベッドに乗って、佳織を後ろから抱きしめるようにする。
「理央、二人でしよう」
「ん、ぁっ」
佳織の胸が下着の上から揉まれて、佳織は甘美な声を上げた。
「正直になれよ。本間さんのマ×コの中にチ×ポぶち込んて、やらしー声出させたいくせに」
理央はそう言われても立ち尽くしたままだった。
佳織は隼人に体をまさぐられながらも時折、誘うような目で理央を見やる。
まるで、こっちにおいで、と言っているかのように見えた。