搾精-1
綾菜ちゃんの指先でコンドームの包装アルミニウムが照明を反射して光る。その、セックスの雰囲気を醸し出すための薄紫色が綾菜ちゃんの無邪気であどけない12歳の笑顔とアンバランスで、かえって淫靡さが強調されている。
「はい」
綾菜ちゃんに促されて袋を受け取る。耳に届くアルミの袋がかすかに凹むときの、めみ、という音と、指先に伝わる想像以上に柔らかなゴムの感触が、小学6年生の女児に避妊具を手渡されたという非日常感にテクスチャーを添える。そういえばあのときも綾菜ちゃん、「コンドーム持ってる?」って聞いてきたな。
「お兄ちゃんにお願い、っていうのはね」
ね、と言いながら小首をかしげる仕草を見せる。
「この中に、せーえきをいっぱい入れてほしいんだ」
「……え?」
「あのね」
綾菜ちゃんが身をのりだす。12歳の体臭がふわっ、と俺の顔面を包む。
「こないだお兄ちゃんがここでしゃせーしたときは、なんかくさくってやだなあ、って思ってたんだけど……あのあとね、お兄ちゃんのせーえきがついたティッシュ見てたら、なんかエッチな気持ちになっちゃったんだ」
はにかんだような笑顔。いや、小学6年生の女児がこういう笑顔を見せる内容じゃないぞ。
「でね、ちょっとおなにいしながら匂い嗅いでみたら、すっごくこーふんしちゃった。せっくすのときに綾菜のおまんこに入ってきたおちんぽからこれが出るんだ、これってせっくすの匂いなんだ、って」
んふっ、と笑う綾菜ちゃんと、あのジュニアアイドルが黄色いビキニ姿で砂浜に寝転んで見せた笑顔が重なる。あのシーン、アップになった笑顔もかわいかったんだけど、ビキニの隙間から乳首チラしてるとかしてないとか、ネットで結構話題になってたな、俺も一時停止からのコマ送りで仔細にチェックしたけどガセっぽかった。いやそんなことは今どうでもいい。
「だから、お兄ちゃんにせーえき出してもらってとっておいて、おなにいするときにまた使おうかな、って思ったの」
コンドームの袋を持つ指先が汗で濡れるのがわかる。いや、なにかが分泌しているのは汗腺だけじゃない。たとえばカウパー腺も。
「ね、綾菜のこと見ておなにいしていいから、ここにせーえき、できるだけいっぱいしゃせーしてね」
そう言いながらベッドの上に立ち上がった綾菜ちゃんは、右手を肩の上に伸ばしてランドセルからはみ出しているリコーダーを手にした。茶色い布製のケースからリコーダーを出して右手だけで持ち、その吸口を唇に当てる。そして左手でさっきみたいにスカートをめくり上げた。
「小6女児の、パンツ見せリコーダーだよ。お兄ちゃんこういうの大好きでしょ」