まだ愛を知らない-1
「私、真夜君(しんや)が好きです」
昨日告白された
相手は隣のクラスの結構可愛い子
でも俺の返事は
「俺と付き合っても幸せにはなれないよ」
今思えばかなりひどいことを言ったと思う
女の子は泣きながら走って行ってしまった
でもいいんだ
本当のことを言ったんだから
彼女を苦しませたくはない
誰も苦しませたくない
たとえ俺が苦しんでも
その時彼女を苦しませたとしても
時が洗い流してくれる
「ちょっと来て」
幼稚園のころからの幼なじみの佐由香が俺を呼んだ
「なんだ?」
「昨日のことだけど」
「あぁ…」
「どうしてあんなこと言ったの?」
「お前には関係ない」
「あるわよ!私は彼女の友達よ!泣いてたのよ」
「普通に言ったら泣かなかったか?」
「そりゃ優しく言えば……」
「優しく言ったら未練が残る、俺はそんなことで苦しませたくない」
「だからって…」
「俺にはまだ恋はできない」
「じゃあ……じゃあ私はどうすればいいの!!私は真夜のことが小1のころから好きだった……ねぇ、なんか言って」
「………わかるだろ」
「言ってよ!!」
その場から立ち去ろうとする俺の腕を佐由香が引っ張った
「…………離せ…」
俺の目を見た佐由香は手をはなした
そのまま俺は教室に戻った
立ち尽くした佐由香を残して