突然の劣情-8
ぎゅ、と加奈子から、理央の着ているパーカーを引っ張られる。
「あたしのこと、はしたないって思わない…?」
「え?そう思われることしたの、僕でしょ?僕のこと嫌じゃないから泊まってもいいって中村さん、言ってくれたんじゃん」
「佐藤くん……」
理央は、加奈子に抱きつかれた。
加奈子の香水の香り。
どきん、どきん、とお互いの鼓動の音が混ぜ合わざる。
「あたし、昨日……佐藤くんと、してもいいって思ってた……」
「そうなの…?」
「じゃ、じゃないと、キスなんか、自分からするわけないでしょう…?」
加奈子はそう言うと、唇を押し当てて、理央の口腔内を舌で激しく犯していく。
「ん、なかむ…らさんっ……」
「昨日…あたしだって、したかったよ………」
そんなことを言うから、理央は加奈子の細腰を抱き寄せた。
加奈子は理央の脚にまたがるようにすると、理央の両頬を両手で挟んで、理央の唇に唇を押し当てる。
理央の唇は加奈子の柔らかな舌でこじ開けられ、ごぷっ、ぐぷっと下品な音が鳴る。
「いいんですか……?」
「言わせないで……」
理央は咄嗟に、すぐ側に置いたビジネスバッグの中にコンドームがあったかどうかを思い出す。
「もう、昨日みたいに、したいって思わない…?」
「そんな、わけ………カバンの中に、ゴム、あったよなって考えてました」
理央の言葉に、きょとんとしたような顔をしたかと思うと、クスクス笑い出す。
「佐藤くんって、昨日も思ったけど優しい。だからたくさん遊べるんだね」
理央の額に、ちゅ……とキスが落とされた。
「ーーあたしとも、遊んでくれる?」
「そんなこと言われて、昨日の今日で我慢できないですよ」
理央はバッグの中から、コンドームを二つほど取り出し、加奈子の手を引っ張って寝室へと誘う。
寝室は遮光カーテンがつけられており、この時間帯でも真っ暗だった。
理央は借りたパーカーと、その下に着けているTシャツを脱ぎ捨てて、加奈子の体を押し倒す。
「中村さん、久しぶり、ですよね。きっと」
「何で、そんなこと聞くの……?」
はぁっと吐息を漏らしながら、加奈子が尋ねる。
「だって、痛くしたら嫌だから……なるべく、丁寧にしてあげたい」
「佐藤くん、普段からきっと優しいでしょう?」
(……優しくできるかわかんないから聞いてるんじゃないか……)
加奈子は寝転がりながらも、自らスカートのジッパーを下ろしてスカートを脱いだ。
黒いストッキングに包まれたその脚は細く、だがむっちりとしていやらしい。
「中村さんって、すごくキス、エッチですよね」
「えっ……や、やだ……がっついてたかな」
「そういうことじゃなくて、うまいって意味。たくさんして欲しい」