『鬼と、罪深き花畜』-2
「へへ、俺にキスされて、感じるだろ」
「か、感じる訳ないよ」
中年男の教師からキスをされて、気持ちが悪かっただけです。
「それなら、おまえが感じるようにしてやるまでだ」
黒岩先生の態度が更に凶暴なものになりました。僕の頬にバシッと強烈なビンタを見舞ってきたんです。一瞬、目の前が真っ暗になるような張り手でした。
「ああっ、止めてっ」
「へへっ。おまえのような子を見つけたくて、俺は高校教師を嫌々続けてきたんだ。おまえは俺が今まで見てきたどの女の子よりはるかに美しいんだ……どうだ、ビンタをもっとされたいか」
ビシ、バシッと往復ビンタを何度も繰り返すのです。
「お願い、許してっ」
誰からもこんな暴力を振るわれたことのない僕は心の底から震え上がってしまい、何も考えられなくなっていました。涙を流しながら許しを乞うていたのですが、先生は止めてくれないんです。
「おまえが俺にキスして欲しいと言うまでビンタを止めねえからな」
そう言って、黒岩先生は更に何発も僕の頬を残酷に打ち続けたのです。美しい顔が醜く腫れあがっていたと思います。もう意識が朦朧としていました。
「せ、先生っ。もう許してっ」
口惜しいけれど、僕は涙を迸らせながら、先生の凄まじい暴力に屈服するしかなかったんです。
「じゃあ、俺の言いなりになるって言うんだな」
「はい。何でもしますから、お願い、もうぶたないでっ」
「おまえ。何でもするって、言ったな」
「ああっ。何でもしますからっ」
先生の凄まじい暴力から逃れたい一心で、僕は口走っていたんです。
「じゃあ、俺の女になると誓え」
黒岩先生は意味不明なことを命じてきたのです。僕が男だと分かっているはずなのに変でした。
「えっ?」
「おまえは今日から俺の女になるんだ」
「で、でも僕は……」
僕は男だと言おうとした頬にまたも強烈な張り手が飛んできたんです。頭がクラクラッとしてトイレの床に倒れ込み、先生の足元に這っていました。
「おまえは俺の女になるんだ。それを、ようく頭に叩き込め」
黒岩先生は革靴の底で僕の頭を踏みつけながら言うんです。
「ああっ、分かりました。分かりましたから、もう乱暴しないでっ」
「それじゃあ、女みたいな嫌らしい声で俺にキスをせがんでみろ」
先生は僕の頬をトイレの床に擦り付けるようにしながら、そう言うんです。
「先生っ……ミツルに……ああっ、キスしてっ」
トイレの汚れた床に顔面を押し付けられたまま、僕は必死で哀願する女のような声を上げていました。
「聞こえねえな。もっとはっきりと、大きな声で言えよ」
「ああっ、先生っ……キスして下さいっ」
「もう一度だ。黒岩先生の女にされたいミツルに、と言うんだ」
黒岩先生はしつこく僕に恥ずかしい哀願を繰り返させるんです。そして、屈辱的な哀願をしっかりと言えるようになるまで、突き出しているお尻を打たれました。
「ああっ、お尻をぶたないで。ちゃんと言いますから……先生っ。黒岩先生の女にされたいミツルに……キスをいっぱいして、ミツルを酔わせて下さいっ」
僕はお尻をプリプリと振りながら、泣き叫ぶような声で言わされたのです。
「へへっ。ちゃんと言えたじゃねえか。よし。おまえにキスしてやるから、その汚れた顔をしっかり洗って来い」
トイレの床に擦りつけられて汚れている僕の顔には、黒岩先生もさすがにキスをする気になれないようでした。僕は一度個室を出て、顔を洗いに行きました。洗面の鏡に映る僕の顔は見られたものではありません。ビンタのせいで醜く腫れあがり、先生の手形がいくつも赤く残っていました。