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『鬼と、罪深き花畜』
【SM 官能小説】

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『鬼と、罪深き花畜』-12

「志摩子さんと僕が……愛し合うんですか」
「あの人が望んでることよ」
 志摩子さんは僕をずっと抱きしめてくれていたんです。滑らかな肌と肌が擦れあっていました。その何とも言えない感触が素敵で、股間の谷間で圧し潰された状態の海綿体に欲情に狂った熱い血が猛烈な勢いで流れ込もうとするのです。でも折り曲げられてペチャンコにされている肉茎はビクとも出来ないんです。昂奮すればするほど、耐え難いほどの凄まじい激痛が走るだけです。
「ああっ、縄が喰い込んで、い、痛いんですっ」
 激痛に身悶えると余計に縄に絞めあげられて痛みが増すんです。お尻を突き出すようにしてクネらせれば更に縄が喰い込んでくるのは分かっているのですが、お尻をクネらさずにおれないんです。逃れようのない縄の地獄です。男の肉茎を持っていることがこれほど恨めしく思ったことはありません。
「うふっ。こんな非道い仕打ちは無いわね。可哀想ね。でも、勃起させたりしたら大変よ。男の子の大事なシンボルが折れちゃうわ」
 志摩子さんが恐ろしいことを囁いたんです。
「ああっ。あれが折れちゃうことなんて、あるんですか」
「ええ、そんな状態で勃起させたら骨折するわ。だから、元気な男の子になっちゃダメなの。ずっと女の子でいるの」
 そう言いながら、志摩子さんは僕の谷間に喰い込んでいる股縄を指で弄ってきたんです。
「ああ、嫌っ。ひ、非道いっ」
「わたくしは、あなたが憎らしいって言ったでしょ」
 志摩子さんがこんな意地悪な人とは思いませんでした。また激しいキスをむさぼりながら、僕の谷間の股縄をしきりに擦りあげてくるのです。
「お願いっ、もう止めてっ」
 股間の激痛にのたうち回るしかないんです。
「あなたは男の子のくせに、志摩子よりも素敵な女になろうとしてるのがいけないのよ。地獄の苦しみを味あわせてあげるわ」
 志摩子さんは僕の欲情をもっと煽り立てるためなのか、意外なほど弾力のあるバストを僕の頬に擦りつけていたんです。
「へへ……二人でもう始めてるのか」
 楊枝を口に咥えて、先生が戻って来ました。先生は二人の絡む姿を眺めながら、ダボダボのステテコから誇らしげにあの巨大な男根を剥き出しにして聳え立たせているんです。
「あなた……志摩子は、ミツルさんを早く狂わせたくてウズウズしていますの」
「ふふ、おまえの方がもう発情してるのか」
「ええ。もう狂いそうなくらいです」
「それなら早速始めてもらおうか」
 先生は僕の裸身を抱えあげて、円形テーブルの上に戻したんです。今度はテーブルの上に寝転んだ僕の右脚だけを高々と吊り上げたのです。僕の腰がテーブルから浮き上がった状態で固定されました。
「ああっ、先生……これ、恥ずかしいっ」
 片脚吊りにされた僕は股間を目一杯に広げているのです。股縄が更にきつく喰い込んできました。
「どうだ、ミツル。縄が肌に喰い込む感触をしっかりと身体で覚えるんだ。俺の女なら、この苦痛に酔い痴れて溺れてみろ」
「い、痛いだけですっ」
「ふふっ。先程はたまらんくらい、妖しい貌をして哭いてたじゃないか」
 あれが縄酔いと言うものだったのかもしれません。僕は縄で吊り下げられて夢うつつに陶酔の沼を彷徨っていたのです。
 先生は最初に約束した通り、僕に直接手出しはしてこないのです。でもその代わり、縄の緊縛と志摩子さんを使って僕を狂わせるつもりなんです。
「あなた、わたくし達二人が猥らに愛し合ってる姿をお描きになりたいんでしょ。志摩子、とっても猥らな女になりますわ」
 志摩子さんは長襦袢を肩からハラリと脱ぎ落として、僕の目の前で一糸纏わぬ素っ裸になっていたんです。
「あ、ああっ」
 その匂い立つような雪白の素肌に、色鮮やかな薔薇の花が咲いていたんです。右の太腿の内側に真紅の薔薇が一輪。視線を吸い込まれそうになる薔薇の刺青でした。
 僕は吊り上げられている片脚を震わせながら、その妖しい美身にうっとりと見惚れてしまいました。
「ミツルさんは、女の裸を見るのが初めてなのかしら」
「ああ……は、初めてですっ」
 初めて目にした女身が志摩子さんのような悩ましい輝きを放つ滑り肌だったことが、僕の女体に対する美の感性を決定づけた気がします。透明な皮膜に覆われているような美しい光沢に目を奪われていました。
 露わになった裸身を恥じることもなく、僕が吊られている円形テーブルに上がってきたんです。


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