麻袋を被った少女-1
「おじさん」
「ん? なんだ? 俺のことか?」
「他に誰もいないじゃん」
街はずれの農道、夜中の12時を少し回った頃。
ここはこの国の主都、表通りは植民地時代の建物が並び、それなりにこぎれいな様相を見せている、しかしそれは薄っぺらな看板のようなもので、通りから少し離れれば今にも崩れそうなバラックが建ち並んでいる。
途上国が多いこの地域の中でも特に貧しい国の一つなのだ。
崩れかけた納屋のような小屋だ、長いこと雨風に晒されてスカスカになった木の板を打ち付けただけの壁はところどころ朽ちて穴が開いている、そんな廃墟とも言える様な小屋の前にその少女は座り込んでいた。
身に着けているものと言えば穀物を入れる麻袋に孔を空けただけのもの。
その麻袋から細い腕と脚、そして小ぶりな頭部がにょっきりと生えている。
「俺に何か用か?」
「良かったら買ってくれない?」
「買うって、何をだ?」
「しらばっくれないでよ、あたしのここにおじさんのチンコをズボズボ出し入れしていいから、お金くれない?って言ってんの」
そう言いながら少女は麻袋の裾をまくり上げる、下着は着けておらず、無毛の一本スジが露わになった。
男と言うものはしょうのない生き物で、女性器を目の当たりにすれば反射的に挿れたいと思うものだ、
それは種の存続に係る欲求ではある……まぁ一年中発情しているのは人間くらいだが。
とは言えまだ毛も生えていないような少女の性器だ、可愛らしいとは思うがそこまでの衝動には駆られない、俺みたいな男にでも理性と言うものが少しはあるんだ。
「お前、いくつだ?」
「関係ないじゃん」
「10歳……せいぜい11歳ってとこか」
「まあ、そんなとこ……あたしのここ、結構具合が良いらしいよ」
「へぇ、そうかい? ってことは、こんなことをもう何度もやってるのか?」
「まあね、なんか食べないと生きて行けないし、食べ物買うにはお金が必要だからさ」
「生きるために……か、親はどうした?」
「とっくに死んだ」
「だったら孤児院とかあるだろう?」
「そこが嫌で逃げ出して来たんだ」
この国ではそう言うことは珍しくない、孤児院と言っても粗末な食べ物とねぐらを与えるだけ、お上にはそんな状況を改善しようなどという気もなければその余裕もない。
だから少しでも扱いにくい子は細竹で叩いて躾けるし、年長の子のイジメに晒されても誰も助けてはくれない……俺もそんな中で育ったクチだから良く知っている、まあ、そのおかげで生きて行くための知恵や図太さは身についたが……。
「孤児院から飛び出して、一人で生きて行けると思ったのか?」
「……そうは……思わなかったけど……」
「死んだら死んだでしょうがないやって思うくらい嫌だったんだな?」
「……」
少女は無言だったがゆっくりと頷き、そしてちょっとめんどくさそうに言った。
「あたしの身の上なんてもういいからさ、さっさと決めてよ……買うの? 買わないの? どっち?」
「そうだなぁ……」
俺は少女の顔をまじまじと眺めた。
こちらをねめつける様な眼……子供ながらに身体を売ってでもなんとか生きて行こうとする強さを感じさせる眼だ。
輪郭こそ子供らしいふっくらしたものだが、切れ長の眼、小ぶりだが形の良い鼻と唇……どことなく色気を感じさせる……まあ、大人の男を誘おうとして女の子の一番大切なところを晒しているのだからそのせいもあるのかもしれないが……。
「買うの? 買わないの? さっさと決めてよ、じろじろ見るだけならタダだと思ってるんでしょ、買ってくれないならもう見せない」
「まあ、そう焦るなって、市場で何か買う時だって品定めはするもんだぜ」
俺は少女の前にしゃがみこんで、その顎に鉤型に曲げた人差し指をかけて少女の顔を上げさせ、つぶさに観察した。
その切れ長の眼には強さだけでなく、世の中への反発、一人きりでいる寂しさ、こうまでしなければ生きられない憂い……そんな様々な負の感情を宿しているのが見て取れる。
「俺にロリ趣味はないんだがな……」
「大抵はそう言うんだけどさ、終わると良かったって言う人も結構いるよ、締め付けが強くって搾り取られるみたいだったって」
「ふぅん」
「試してみれば?」
「試すだけ試して買わないってこともあり得るぜ」
「だから指だけ」
「なるほど、その手があったか……いいんだな?」
「市場で肉に指突っ込んだら怒られるけどね」
少女はふっと笑うように言った。
「減るモンじゃなし、ってとこか」
俺も笑い返しながら中指を挿し込んでみる。
「確かに狭いな……指一本でも締め付けを感じるよ」
「チンコならぎゅうぎゅう締め付けるよ、オジサンのがよっぽど小さけりゃ別だけど」
「ははは、まあ、人並みのモノは持ってるつもりだよ」
「買う?」
「まだだ」
「え〜? なんで?」
「具合が良いのは間違いなさそうだけどマグロじゃしょうがないからな」
「マグロって?」
「横になってマンコ使わせてるだけで悶えたり喘いだりしないんじゃ抱いてもつまらないからな」
「ふ〜ん、そういうもの?」
「そうさ、つまらないって言われたことはないか?」
そう言いながら指をピストンさせ、同時に指先を曲げてGスポットの辺りを刺激してやる。
「……ないよ……あ……」
少女は小さな声を吐いた。
「なるほど、ちゃんと感じるみたいだな」
俺がそう言って指を引き抜くと、少女は『はぁ〜』と深い息を吐いた。
経験豊富なような口をきいていたが、この小さな身体では指一本受け入れているだけでも楽ではないようだ。