第十五章 藤本さんからのメール-2
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私達の歓迎会が終わった翌日。
裕君と私は疲れた身体を引きずるように家に戻った。
二人は何も言葉を交わすことなく、玄関に到着するまで只、手をつないでいた。
お風呂の後、簡単な食事をすませると、二人は寄り添って同じベッドで眠った。
興奮と疲労が泥のような睡眠を二人に与えていたが、つないだ手は、朝、おきるまでそのままだった。
裕君の手の温もりが嬉しくて、涙がこぼれた。
『おはよう・・・』
そんな私に裕君は囁き、優しい口づけをくれた。
夫の愛にくるまる幸せを噛みしめたくて、暫らく、ジッと身体を預けていた。
その日も休日だったので午前中は出かけることもなく、二人寄り添って過ごした。
そうしないと、裕君・・・私の夫がどこかに消えてしまいそうで不安だったから。
裕君も同じ気持ちだったのか、私の我がままに付き合ってくれていた。
特にキスしたりセックスするわけでもなく只々、一緒にいたかった。
温もりに包まれていないと、怖くてしようがなかったの。
昼食を済ませた後、裕君の携帯にメールが届いた。
二人は目を合わせ、互いに頷くとビデオをみることにしたのです。
カーテンを閉めた薄暗いリビングのソファーで、二人並んで映像が始まるのを待っている。
それが、これからの二人の運命を変えるものだとは十分すぎるくらい理解していた。
それほど、あの日の体験は凄まじいものだったから。
もう一度、互いの手を強く握り合った瞬間、映像が始まっていった。