憤り-2
周りの客は一体何事かと足を止めて見ていた。修には好奇の目に梨紗を晒したくなかった。
「長谷川さん、場所変えて一回落ち着こうか。」
梨紗はヒック、ヒックと体を震わせながら頷いた。
「アンナ、3階のテラスに行こうか。」
「そうだね。」
フードコートの表のテラスにはいつも人がいなく落ち着けると思った。修は梨紗を支えながら、アンナは子供を連れ3階のテラスに向かう。さっきは梨紗の豹変に面くらい少し大人しくなった子供だったが、すぐにヤンチャな姿を表す。
「ボク、名前は?」
「しょーた。おばさん誰??」
「お、オバさん…?お、オネーサンでしょ…?」
顔を引き攣らせるアンナ。
「オバチャンでしょ?」
「お、オバチャン…?さっきよりひどくなったわねぇ…。オネエさんでしょ、オネエさん!」
「オバチャンだよ!クソババァ!」
「!?だーれーがークソババァだってー!?クソババァ、怒ったわよっ!」
アンナは翔太の脇を思い切りくすぐる。
「ぎゃー!やめろー!」
「オネエさんて呼んだら止めてあげるよ♪ほら?何?」
「く、クソババァ!!キャハハ!」
「こらー!よく見なさい!?まだ皺ないでしょー!?」
「ギャハハ!や、やめろー!」
「で、私はオバチャン?」
「お、オネーサン!」
「よろしい♪」
くすぐりをやめたアンナに再び言った。
「クソオバチャン!」
「こーらー!まだ分からないみたいねー!ほら!」
またくすぐる。
「ギャー!オネーサン、オネーサン!」
「よし。」
「クソババァ!」
「あっ??」
「ギャハハ!」
のエンドレスだった。そんなアンナを見て、こいつ子供好きなのな、と見直した。同時に梨紗をクソババァ呼ばわりする翔太が憎らしくて仕方がなかった。
(歩美はあんなクソガキとは違かったぞ!?何であんなクソガキが梨紗の子供なんだ!?ふざけんな!)
歩美は梨紗の愛情を一身に受け可愛らしく素直な子供だった。歩美もママ大好きで妬けるぐらいにいつも一緒に遊んだり手伝いをしていた。そんか2人を見ると幸せに溢れて来たものだった。それだけに梨紗を苦しめるあのクソガキが許せなかった。