第十一章 映見の決心-1
第十一章 映見の決心
寝室のドアを開けると、大きなベッドが目についた。
キングサイズのベッドは大人二人なら、楽に寝れることを想像させた。
(や・・・だ・・・)
そのことは、私の頬を上気させるには十分だった。
藤本さんに見せないよう、わざと、部屋の中を見渡すようにした。
「すごい・・・広い・・・」
ベッドの他に、本棚、デスク、ソファーセット等が配置されている。
それだけで、私達のマンションのリビングとダイニングよりも広い。
「ようこそ・・我が家へ・・・」
藤本さんが、うやうやしく御辞儀をしながら右手を差し出した。
私と同じ、白いバスローブ姿だ。
お風呂上りのソープの匂いが心地良く、漂っている。
「フフフ・・・」
私は素直に微笑み、藤本さんの手を取った。
「お招き・・ありがとうございます・・・」
舞踏会の芝居のように、御辞儀をした。
「ハハハハ・・・」
「フフフフ・・・」
手を握り合ったまま、笑い合った。
嬉しかった。
遂さっきまでの悩んでいた苦しみが取り去られ、軽くなったような気がする。