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雪の故郷
【純愛 恋愛小説】

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新しい生活-1



6畳一間 母に携帯番号だけ書いた 葉書を見つめ溜息を漏らしていた 

学生時代 下宿してた周辺に住まいを探し やっと見つけた部屋で
母に 連絡先を書いたが 後の文が思いつかない 謝罪の言葉・・・

父の最後の言葉を思い出す 帰り際に

「お前は 俺の娘では無い 二度と家に帰って来るな」
怒りと悲しみを浮かべた目で 父は真奈美を見ながら言い
母と連れだって帰る 両親の背中を見つめ 送った姿をを思い出していた

・・・俺の娘で無い・・娘で無い・・娘で無い…帰って来るな・・・

・・・独りか・・・独りか・・・一人・・・・

葉書を見つめ 涙を浮かべていた 連絡先だけ・・・・・・・
何処かで 繋がって居たいと思い母へ連絡先を書いていた
言葉が見つからず 引っ越して新しい電話番号とだけ書いて
迷いながらポストに 投函してしまった

2か月が過ぎ 真奈美は仕事を探し続け 小さな会社の経理事務の
仕事が見つかり 働き始めた

「今日から働く鈴木さんです」 社長に紹介され頭を下げる

営業を担当する社員は5名居て 責任者の佐藤を紹介されたが 暗い表情で
佐藤ですと言うと 直ぐに外回りに出かけてしまった その夜 歓迎会が
行われ 20名の社員の中で紹介を受け 真奈美の新しい生活が始まった

三か月が過ぎ真奈美の生活も落ち着き始めて来た 仕事も覚え 何時の
間にか 周りから声を掛けられ 時折同僚と食事もするように成って来た
食事の席で 佐藤さん陰気ねと 同僚たちが話始める
あの人 余り笑わないし 仕事以外で話した事有ると 皆を見回し
皆 首を振って その日は佐藤の話で 盛り上がっていた

真奈美はそのことを聞いた日から なるべく佐藤に 挨拶をし
朝のお茶の時は笑顔で接するように 心がけていた

ある日 営業が騒めいていた 真奈美が顔を上げると 営業の
社員達が 佐藤の周りに集まり 顔を集めていた 佐藤は黙って
座り皆の話を聞くと 判ったと立ち上がり ボードに行き先を書き
何処かへ 出かけていた 夕方戻ると 席に着き 他の社員を
集め 笑いながら 何か話していた 

真奈美の隣の女性社員が そんな佐藤を見て 

「佐藤さんでも 笑うんだ」 と皆の袖をひき佐藤を見ていた事が
有った その頃から 佐藤は会社の中で 笑顔を時折見せる様に
成って来た


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