Another.tale2 女王蜂-13
彼女の頭の中は僕の手をどかせることより、どう反撃するかでいっぱいになっているはずだ。
「旧家はそれなりにねたまれ、あらぬゴシップを流されることもある。母さんは、もちろんこんなの作り話だと言って否定するよ。
その役職の手前、みんなは大っぴらにはあまり言わない。証拠もないし、あくまでも個人の疑惑だからね。僕はそれでかまわない」
「では、ココロの記憶を読むわ」
「そんなこと、全力で阻止されると思わないかい、家の中の多くを知っているハウスメイドを、保護するのは当たり前だろ。
だからすべては疑惑のまま。
でも、魔女の家を乗っ取る、名前を盗む。これは個人の事として済ませられない人の方が多いだろうね。
特に名家と呼ばれる人ほど神経質になる。お嬢さんの個人的ないたずらでは済まないよ」
立ち上がらせると片足をシートにあげさせた。
ララは黙って、手で股間を隠し、防ごうとする。
かわいい乳首は硬く、小刻みに震えていた。
ぼくは立ち上がりながら、きれいに処理をした肌の割れ目に、深く、深くに刺してやる。
ララは唇を噛んでにらみつけるが、濡れる膣は僕のものをこばめなかった。
「僕の一族からも、名家の一部からも、系図を重んじるあなたの組織からも目をつけられる。いくら否定しても疑惑と不信感は消えない。話の少なくとも一部は事実なんだからね」
「こんなことをして、ただで済むと思ってるの」
「そう言わずに。僕の家にあそびに来てよ。もっとしりあおう」
ララの腰をもっとひっつかせ、竿を動かしつづけた。
「そんなことを言って、マウントを取ったつもりなんでしょうね」
ララは眉間にしわを寄せて、かすかにうなった。
「どうして僕の名前じゃなくて、僕を好きになってくれなかったんだい」
「君がこんな事をするなんて思わなかった」
「そうだね、時間をかけないと、人なんて分からないよね」
「でも、わかってるのよ。さっきの話は私をおとしいれるためのうそだわ。へたくそよ。
君は並の妹コンプレックスじゃないわ。その君が妹にそんなひどいことできるわけがない。あの子の君を見る目は主従関係ではないわ、信頼の目よ。そんなことをしては得られない視線よ。
バカにしないで、私にはそれぐらいのことわかるのよ」
「ばかだったのは僕さ。こんな扱いをしたことで、母さんには叱られるだろうな」
「私をどうする気」
「君と会えてよかった」
「それで」
「また機会があったら、声をかけてよ。静かに待つよ」
映画は終わっていた。クリーンは真っ白で、アンプのノイズだけがかすかに響いている。
「もういいでしょ。させてやったんだから」
「このまま、中に出していい?」
「抜いて、この上、中に出したりなんかしたら、おまえのものを一生使えないようにしてやる」
元より、プレゼントしてやる気はない。
そっと抜いてやった。
「おしっこしてくる」 女王蜂は僕を突き飛ばすと、試写室を出て行った。
戻ってくることはないだろう。
僕はとぼとぼビルを出た。
「兄さん」レイが真っ赤な顔で、外で待っていた。
「兄さんが私の名前を貸してといった時、あの女を撃退するためだというから許したけど、あの話はひどすぎるわ。 外に出られなくなる」
「話は大きい方がいい。信じられるかのギリギリじゃないといけないんだ」
「だから私の処女を奪ったわけね。でも私は一方的でばかみたいだわ。それも、『妹は本当に処女だったのかな』ですって」唇を震わせている。
通行人が二度見をして通り過ぎていった。
「ここで話すのはやめようよ。でもこの話はここだけで終わり、外には出ないよ」
「そんなことじゃないわ。わたしの名誉の問題よ」
「おまえの、その、初めてのことは知らないし、なんとか話にリアリティーを持たせるためだったんだ。それでも僕のために今まで我慢してくれたんだね。ありがとう」レイに向かって手を広げた。
「いやよ」1ミリも近づこうとしない。
「ただのハグだよ‥ たしかに、僕は最低の男だよ。だからレイもララもこんなに傷つけないと、終わらせられなかった」
「あの人はへたくそだったの。ただ愛せればよかったのに」
「そうだね」
「やめて、兄さんに愛なんて語る資格ないわ」
≪レイも毒針を持っていることに、どうして気が付かなかったんだろう≫
みんなが刺し殺そうとする。