君を愛してる-6
「ほんまいい加減な奴やで」
「知ってる、だからあたしがいるんやん。どっちもいい加減やったら終わりやで」
思わずははっと笑ってしまった。莉帆はにかっと歯を見せて笑った。
「気ィ利く女やろ?」
「利きすぎ」
壁に寄りかかっていた体を起こし、莉帆の手をそっと掴む。
「あの映画…最後の言葉」
「ん?」
すぅっと息を吸った。都会の空気やけどちょっとすがすがしかった。
「……めっちゃ好き」
「……………」
「莉帆おらんとあかんな」
「……ふふっ……あはは」
「笑うな」
「セリフ違う」
「俺はこれでええのー」
「あはは…好ーき」
「"いい加減な奴"は卒業する」
そう言ってぎゅっと抱きしめた。俺の腕の中にすっぽりおさまる小柄な自慢の彼女。いい加減な俺のしっかり者の彼女。
翌日、西脇を軽くしばいた。思いっきりしばかへんかったのはちょっと感謝してるから。
『言うこと言って、決めるとこ決める』
きっと社会人になっても俺は莉帆からの電話で起きると思う。そう簡単には"いい加減"から抜けられへんからな。
でも春になったらおしゃれな店で夕食。そんときはもちろん俺もスーツで。
いい加減な俺は
しっかり者の君を
愛してる。
END