君を愛してる-4
「陸は…肝心なこと言うてくれへん。あほや、あほ!ほんまボケ!」
実はちょっとお口の悪い彼女。
「うっさい、帰ってくれ」
「言うわれんでも帰るわ!もう一回あの映画見ろハゲっ!!」
「俺はハゲてへんー!」
俺の言葉と同時に部屋のドアが閉まった。関西人の口喧嘩はだいたいこんな感じ。
それはそうと"あの映画"というのはこの前莉帆と見に行ったやつ。クールな主人公の男がラストで『君が好きなんだ!君がいなきゃだめなんだ!』とか叫ぶベタな恋愛映画。
そのとき確か俺は『さっむ〜。こんなん現実にあるんか?リアルに言われへん』とか笑い飛ばしてた気が……。
あの喧嘩から二週間ちょっと。 お互い連絡はなし。
「お、ようやく反省の色が見えてきたか?」
西脇が茶化すように隣に座る。
「べーつに」
机の上に広げていた物をさっさと片づける。
「莉帆ちゃんとはどう?」
「べーつに」
「うるさく言ってくれる人がおらんと寂しいもんやろ?」
「………さぁ」
「泣いてた」
「知ってる」
「何や知ってたんか」
莉帆が部屋を出て行ったあと、窓から下を見下ろした。上からやけど何となく泣いてるって分かった。西脇の言う通り、ちょっと反省した。
「先生んとこ行ってくる」
「また呼び出されたんか?いい加減真剣に…」
「はずれー。今回は呼び出した方!ちょっと反省してん。映画も見たしな」
「映画?」
不思議そうな顔をする西脇を教室に残し俺は足早に教官室へ向かった。