君を愛してる-3
「陸は昔から喋り面白いし結構モテんねんけど、肝心なこと言わへんし、肝心なとこ決めへんからなー」
「そうなん?」
「そう!言うこと言って、決めるとこ決めな女に逃げられるで」
「ご忠告おおきにー」
このとき適当に聞き流したこの言葉が後になって救いになったりする。
二週間後――。
「何でそうなん?いつも適当に考えて…自分のことなんやからちょっとは真剣に考えなよ!」
「うるさいなー」
「心配してるんやん!」
「それは分かってるけど」
何でこんな言い合いになってるんか。
それは一時間前……。
『仕事早めに終わった♪』
『ほな、家来る?』
こんなメールのやりとりで俺の部屋に来た莉帆。始めは莉帆の仕事の話とか愚痴とかで盛り上がってたけど、ある話で一気に下り坂に…。
「西脇くん内定決まったんやってね」
「あー、うん」
「お祝いした?」
「おー、お前は仕事やったけど」
「あーそっか」
そこから少し沈黙が続いた。秒針の音がやけに大きく聞こえた。
その沈黙を破ったのが莉帆の一言。
「で?陸は?」
「ん?」
「就職活動どう?」
「まぁーぼちぼち」
触れられたくない話に、立ち上がり逃げるように皿やコップをキッチンに持って行く。
「全然真面目に考えてないやろ?」
「いや、考えてるって…一応」
「嘘!聞いたことないもん!いつもはぐらかすやん!!」
っとまぁ、こんな風に始まり現在に至る…っと。
「陸、いい加減すぎ」
「よく言われる」
「ここまでいい加減やと思わへんかった」
「今さら気づいたん」
俺も莉帆も言い出したら止まらへん。挙げ句の果てには俺は冷蔵庫から酒を取り出して飲むし、莉帆はそれ取り上げてゴミ箱に捨てるしで下りだしたら加速する一方。